研究課題
目的:本研究では、生活機能の低下が口腔内状態に与える影響を除外するため、日常生活機能が高いレベルで保たれ、自立した生活を送っている地域高齢者を対象に、口腔機能と認知機能との関連について検討した。方法:対象者は、70歳群(69~71歳)774名ならびに80歳群(79~81歳)435名の地域住民とした。まず、対象者の歯の状況を検査した。口腔機能の評価は、デンタルプレスケール(ジーシー社)を用いた最大咬合力ならびにパラフィンペレット咀嚼による刺激時唾液分泌速度とした。義歯を使用している者は、義歯装着状態で測定を行った。また、認知機能の評価は、日本語版Montreal Cognitive Assessment(以下MoCA-Jとする、30点満点)を用いた。高次生活機能の評価として、老研式活動能力指標を用いた。統計学的分析は、対象者から老研式活動能力指標の得点が満点の者を抽出し、MoCA-Jスコアと歯数、最大咬合力、刺激時唾液分泌速度との相関をSpearmanの順位相関係数を用いて検討した。次に、MoCA-Jスコアを目的変数とした重回帰分析を行った。有意水準は5%とした。結果:対象者のうち、老研式活動能力指標が満点の者は70歳で438人(56.6%)、80歳で184人(42.3%)であった。各年齢群の残存歯数、最大咬合力は、順に、70歳21.3(SD=8.0)本、80歳14.7(SD=9.7)本、70歳543(SD=332)N、80歳315(SD=241)Nであった。各年齢群の平均MoCA-Jスコアは、70歳群では23.1(SD=3.2)、80歳群では21.7(SD=3.6)であった。MoCA-Jスコアを目的変数とした重回帰分析の結果、調整済R2の値は0.171であった。性別(女性)、年齢(70歳)、教育年数、経済状況(ゆとりがある)、握力ならびに最大咬合力が、MoCA-Jスコアと有意な正の関連を示した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Dent
巻: 43 ページ: 342-349
J Oral Rehabil
巻: 41 ページ: 912-919