研究課題/領域番号 |
23390442
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
水口 一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30325097)
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研究分担者 |
十川 千春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10253022)
前川 賢治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20304313)
十川 紀夫 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30236153)
窪木 拓男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00225195)
北山 滋雄 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80177873)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / セロトニン神経系 / トランスポーター / 筋電図 / 顎関節症 / 口腔運動器疾患 / 睡眠障害 / 臨床疫学 |
研究概要 |
我々の予備的検討から,SB頻度とセロトニン(5-HT)神経終末の濃度制御機能の1つであるセロトニントランスポーター(SERT)の5-HT取り込み能とSB頻度に関係が認められた。しかし,SB頻度とSERT輸送能の関係は未だ十分明らかでない。そこで本研究では,SB頻度とSERT輸送能の関係を解明することを目的に横断研究を行った。 被験者は,平成23年度岡山大学歯学部6年時生全員59名(男性/女性;31名/28名,平均年齢25.4+/-2.32歳)のうち,除外基準に合致しない者全員とした。 被検者は自宅にて3日間連続してSB頻度を測定させ,そのスコアの総和を各被験者のSBレベルとした。この一連のSB測定が終了した午前8時30分から午前9時の間に各被験者より静脈血を16ml採取した。末梢血中の血小板分画中のSERT量,総蛋白質量およびSERTによる5-HT取り込み能(取り込み量,取り込み速度(Vmax),親和性(Km))について計測を行った([3H] 5-HT uptake assay)。これら分画SERT量,5-HT取り込み能と連続3日間のSBレベルとの関連ならびにVmax, Kmとの関連についても検討を行った。 最終解析対象被験者43名(男性/女性;22名/21名,平均年齢25.4+/-2.56歳)の3日間のSBレベルの総和とSERTによる5-HT取り込み量との間には,有意な負の相関が認められた(p<0.05, ρ=-0.31,Spearmanの順位相関係数)。一方,SBレベルの総和と血小板量,SERT量,Vmax,Kmとの間には,有意な相関は認められなかった(p=0.08, 0.15,0.71, 0.68,Spearmanの順位相関係数)。以上より,睡眠時ブラキシズムの頻度にはSERT量の多寡ではなく,SERTによる5-HT輸送能の差異が関与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付申請書に記載した睡眠時ブラキシズム測定装置には,sealing effectが存在することが明らかたなった。すなわち,研究実績で報告した連続サンプルの睡眠時ブラキシズム頻度を測定した結果,約30%が評価しうる最高レベルのブラキシズム頻度であることを示した。そのため,睡眠時ブラキシズム検出装置の測定精度を見なおす必要があり,現在,その測定精度,検出閾値および診断精度について有志健常者を対象にElectromyographyならびにPolysomnography検査と本申請研究で用いている睡眠時ブラキシズム測定装置を同時に使用し,それらの検討を行なっている。 しかしながら,睡眠時ブラキシズムの測定アルゴリズムの一部改変がなされ,その測定データの外部抽出が困難となった。そのため,現在測定装置内に記録されたブラキシズムデータの抽出方法について検討を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究を実施した結果,睡眠時ブラキシズムを測定する簡易計測装置の改変,特に測定閾値,評価方法の修正の必要性を強く感じた。そのため次年度では,現行の睡眠時ブラキシズム計測装置の測定精度の再検討,測定アルゴリズムの改良,測定評価基準の見直し,改変を行う必要が強く感じられた。 ただし,この計測装置の改変は本申請に予め組み込まれた事項であり,研究協力者とも緊密に連絡をとっている。そのため,次年度以降も当初の予定に従い円滑に研究を遂行することが可能と思われる。
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