研究課題/領域番号 |
23390442
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
水口 一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30325097)
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研究分担者 |
十川 千春 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10253022)
前川 賢治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20304313)
十川 紀夫 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30236153)
窪木 拓男 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00225195)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / 簡易貼付型睡眠時ブラキシズム測定装置 / PSG検査 / セロトニン神経系 / 睡眠学 |
研究概要 |
本研究では筋電図(EMG)ベースの簡易貼付型ブラキシズム測定装置(BiteStrip®)の測定精度についてPolysomnography(PSG)検査と比較検討を行った。対象は,個性正常咬合を有する健常者とした。(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 疫学研究倫理委員会 承認第602号)。BiteStripは就寝中の4時間分の咬筋筋活動をサンプリング周波数1 Hzにて経時的に記録し,最大噛みしめ量の30 %を超える筋活動の回数を計測する。PSG測定は,音声ビデオ撮影を含むPSG検査とBiteStrip検査を一夜終夜同時測定した。PSG検査は,脳波計(Neurofax EEG-9200)を用いて脳波,眼電図,心電図,筋電図(頤筋,両側咬筋,両側前脛骨筋),呼吸,体位,血中酸素飽和度(SpO2)を測定した。この測定は,事前に十分なキャリブレーションを行った1名の研究者が全例施行した。睡眠ステージ判定は外部解析施設に委託し,各種の検査所見より総睡眠時間,睡眠効率,睡眠潜時,睡眠ステージを算出した。 PSG検査より得られた両側咬筋の筋電図からLavigneらの判定基準に則り睡眠時ブラキシズム(SB)イベントの判定を行った。その後,録画画像からSB以外の口腔顔面活動による筋活動イベントを解析対象から除外した。これら一連の筋電図から筋バースト抽出に関する解析は,外部の共同研究者に依頼した。PSG検査によるSB数とBiteStrip®スコアとの相関係数を算出した。 被験者17名中,睡眠効率が80%以下であった3名を除外した14名(男性10名,女性4名,平均年齢31.5±5.7歳)を最終解析対象とした。PSG検査による筋バースト数,エピソード数,SB数は,それぞれBiteStrip®スコアと有意な正の相関を示した(ρ=0.80, p=0.04,ρ=0.77,Spearman順位相関係数)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者集積作業,Polysomnography検査の検査手法の確立,およびそれより得られた睡眠データの解析方法の確立がなされた。同時に,これまで本申請において用いられてきた簡易貼付型睡眠時ブラキシズム検出装置の測定精度を立証することができた。 その一方,簡易貼付型睡眠時ブラキシズム検出装置の測定精度における脆弱性が明確になったことで,今後の本装置の改良しなくてはならない問題点ならびに臨床上の目標点が明確となった点では,本研究結果は非常に有意義であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成25年度の研究を実施したうえで確立したPSG検査による睡眠データの採取方法ならびに確立されたその解析方法を応用し,さらなる被検者を集積し,簡易貼付型睡眠時ブラキシズム検出装置の改良を行う。 同時に,これまで行ってきた睡眠時ブラキシズム発症頻度とセロトニン神経系との関連についても合わせて検討を行う。具体的には,睡眠時ブラキシズム発症頻度の日差変動(daily fluctuation)に着目し,セロトニン神経活動の日差変動を十分に考慮した上での,それらの関連性について検討を行う。
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