研究概要 |
開始年度である平成23年度は材料の開発に着手した.異なる結晶性状を持つOCPの調整のため,まず確立済みの50℃以上,pH一定下の湿式合成法(Suzuki et al.Tohoku J Exp Med 1991)で行った.この方法を基本として,OCPを含むOCP/Gel複合体の直接沈殿の検討,乾燥沈殿物をミルにてナノサイズまで機械破砕した後Ge1に分散する方法の検討を行った.OCP/Gel複合体の直接沈殿では,OCP含有量がwtで0%~約50%となるような材料を得た.結晶相の同定を今年度の申請設備であるリートベルト解析が可能な卓上X線回折装置の導入により,OCP結晶の格子定数の精密化の解析に着手した.また,OCP結晶含有量とGelのアミドの割合を定性的にFTIRにより解析した.結晶の形態をSEMにて,水銀圧入法によってマクロポアを評価した.ナノ結晶分散の複合体についても同様に検討した.これらの分析からOCP/Gel複合体中の結晶はGelとの混合比によらず単一結晶相を示すこと,一方,ナノ結晶では分散量によってGe1のマクロポア構造が調節を受けることがわかった.OCPおよびOCP/Gelのin vivo評価にも着手した。ラット頭蓋冠の臨界径骨欠損にOCP/Ge1のディスクを埋入し,一定期間経過後の標本について軟X線による不透過像の上昇の有無を検討し,直接沈殿で得たOCP/Gel複合体については良好な骨形成が生じている様子が得られ始めた.
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