研究課題/領域番号 |
23390453
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
早川 徹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (40172994)
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研究分担者 |
福島 忠男 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80084250)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯科生体材料学 / 再生医学 / チタン / チタンファイバー / タンパク質固定化 |
研究概要 |
コラーゲンまたはフィブロネクチン固定化3次元チタンファイバー焼結体の新生骨形成能についてラット頭蓋骨骨膜挙上モデルを使用して評価した.3次元チタンファイバー焼結体は,良好な機械的強度と形状保持性,成形性を有している.このチタンファイバー焼結体にトレシルクロリド法を用いて,コラーゲンまたはフィブロネクチンを固定化した.固定化の確認はラマン分光分析にて行った. 動物実験には,ラットを用いた.全身麻酔下でSD系ラットの頭頂部を切開し,骨膜を挙上後,骨膜と頭蓋骨の間に各試料を埋入した.試料摘出1週間前にカルセインを皮下投与し,新生骨の蛍光ラベリングを行った.術後4週および8週で試料を摘出し,ホルマリン固定,エタノール系列による脱水後,メチルメタクリレート樹脂にて包埋した.その後,非脱灰薄切研磨標本を作製し,共焦点レーザー顕微鏡によるカルセインラベリング長の測定を行った.さらに,メチレンブルー・塩基性フクシン重染色を行って,新生骨の形成状態を病理組織学的に観察した. その結果,コラーゲン固定化チタンファイバー,フィブロネクチン固定化チタンファイバー,どちらもファイバー内部および周囲には線維性結合組織および血管の新生は見られたが,新生骨の形成は確認されなかった.これは,今回用いた動物モデルが骨治癒過程を伴わないモデルであったためと思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウサギの下顎骨埋入実験を予定していたが,実験期間が当初の計画より長くかかる事が判明し,まずより短い期間で材料評価が可能なラット頭蓋骨骨膜挙上モデルを使用する埋入実験に変更した.当初予想した新生骨形成が確認されず,新たな表面処理および動物モデルの構築が必要となった.
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今後の研究の推進方策 |
チタンファイバーにアパタイト薄膜コーティングとフィブロネクチン,コラーゲン固定を組み合わせた処理を施し,前年度と同様にラット頭蓋骨骨膜挙上モデルを使用して新生骨形成について検討する. さらに,骨治癒過程を伴うモデルでの動物実験による評価を行う.ウサギ大腿骨関節顆部(海綿骨部)に骨欠損を作製し,フィブロネクチン固定化チタンファイバー,コラーゲン固定化チタンファイバーを埋入し,タンパク質固定化が骨治癒促進に与える効果についてチタンファイバー内部や周囲での新生骨形成状態の観察から評価する.以上の結果から,タンパク質固定化3次元チタンファイバー焼結体の顎骨再建材料としての有用性について検討する.
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