研究課題/領域番号 |
23390459
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森 良之 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70251296)
|
研究分担者 |
鄭 雄一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30345053)
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80372390)
矢野 文子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (80529040)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | ナノDDS / 骨再生 / 骨移植片 |
研究概要 |
本研究の目的は、バイオセンサーを用いて同定した骨形成性生理活性物質と、ナノDDSにより骨分化誘導した細胞を自己組織型微小人工骨に搭載させることで、骨再生用ハイブリッド型骨移植片を開発することである。 1. ナノDDSによるMSC骨分化誘導法、iPS細胞の樹立と骨分化誘導法の検討:ナノDDSを用いたmRNAデリバリーによる骨分化誘導法を目指して、申請者らが以前同定した遺伝子の組合せである恒常活性型ALK6と転写因子Runx2を培養細胞に導入し、その効果を検証した。その結果、上記二つの遺伝子のmRNAを導入することにより骨分化を誘導できることを確認した。さらに、ナノDDSによるiPS細胞の樹立に先立って、レトロウィルスを用いてリプログラミング遺伝子を骨・軟骨分化に応じてGFPの蛍光を発するトランスジェニックマウスより採取した線維芽細胞に導入することでiPS細胞の樹立を試みた。取得クローンの性状解析が終了し、多能性幹細胞としての形質を有していることが確認できた。 2. 自己組織型微小人工骨の開発:正四面体形状をもつテトラポッド型リン酸カルシウム微小人工骨を開発した。本人工骨は良好な骨伝導能を有し、いかなる形状の骨欠損部にも緊密に充填できることを動物実験により確認した。さらに、各人工骨間に形成される比較的一定のサイズの連通孔が、細胞や血管の侵入を容易にしていることが示唆された。 3. 自己組織型微小人工骨とMSC由来骨芽細胞・iPS細胞によるハイブリッド型骨移植片の作製:骨形成性低分子化合物SAGを搭載した自己組織型微小人工骨から、化合物が一定期間徐放し、周囲の細胞の骨芽細胞への分化を誘導できることを確認した。さらに、MSC由来骨芽細胞を自己組織型微小人工骨に搭載すると、骨形成性細胞としての形質を保って細胞が生着することをアルカリフォスファターゼ染色で確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ナノDDSを用いたmRNAデリバリーによる骨分化に成功し、自己組織型微小人工骨の開発と基礎検討が終了した。さらに、自己組織型微小人工骨へ生理活性物質と細胞を搭載するための基礎データの取得も順調に進んでいる。mRNAデリバリーによるiPSの作製には時間を要しているものの、ポジティブコントロール株が確立されたことから、25年度も引き続き検討を続ける。以上のように、25年度の動物実験へ向けた基礎的知見が集積されていることから、進捗はおおむね順調であると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
24年度までに、本研究が目指す骨再生用ハイブリッド型骨移植片の構成要素である「自己組織型微小人工骨・生理活性物質・ナノDDSにより骨分化誘導した細胞」に関する基礎検討が終了している。したがって、25年度は予定通りこれらの骨移植片の骨再生効果を動物実験で検証できると思われ、今後の研究計画に大きな変更や問題点はないと考えている。
|