研究課題/領域番号 |
23390461
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
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研究分担者 |
前田 健康 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
藤原 直士 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70181419)
照光 真 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60401767)
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50323978)
吉川 博之 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20547575)
弦巻 立 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10345522)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | BDNF / 三叉神経 / 神経損傷 / 神経再生 |
研究概要 |
【目的】今まで下歯槽神経(IAN)を切断後2週間から3週間経過したのち、神経腫が形成されたのを認め、これが1μgのBDNF投与によって形成が見られなくなったことを示した。さらに同抗体の投与によりオトガイ部に投与したFGの三叉神経細胞への発現が増加し、形態学的に神経が再生していることを示してきた。そこで本年度は、この神経切断後に局所へ投与した抗BDNF抗体が、再生神経の機能に及ぼす影響を検討した。 【方法】6~7週齢SD系雄性ラットを用い、従来の実験と同様にIANを切断してから抗BDNF抗体を投与した。対照群には生理食塩水を局所投与した。再生神経の機能評価として、行動学的には触圧刺激をIAN支配領域の皮膚に与え、その逃避反応を引き起こす刺激閾値の変化を術後3週間まで経時的に観察した。電気生理学的には、切断後3週間目に開口反射をオトガイ神経へ電気刺激を与え、顎二腹筋から筋電図を導出することにより、反射誘発閾値、反応潜時を測定した。またReal Time-PCRを行い、電気泳動法にて神経切断後の神経切断部位におけるBDNFmRNA発現を調べた。 【結果】触圧刺激による逃避閾値は、2週以降対照群が切断前より低下したのに対し、抗体1μgと10μgの投与群での閾値低下は対照群に比べて改善した。1μgと10μgを比較すると逃避閾値の回復は10μgの方が遅れていた。開口反射は抗体投与、対照群両群で生じたが、閾値と潜時では両群間で有意差はなかった(Student t-test、p>0.05)。三叉神経節と神経切断部位でのBDNFmRNAの発現は切断後24時間で増加が確認された。 【考察】神経切断後の切断部位へ投与したBDNF中和抗体は、再生神経では、Aβ線維の機能回復または知覚の回復に影響したと考えられた。また神経切断によりその切断部位においてBDNFmRNAの増加を認めた。これらからBDNFは神経修復・神経腫形成には関与しているが、再生された神経線維の機能には明らかな影響は及ぼさないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BDNFによる神経再生機能に関して研究は進んでいる。その他の要因に関しての研究は現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
セマフォリン3Aやコンドロイチン硫酸などによる軸索再生機能への影響の検討は、現在進行中である。
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