研究課題/領域番号 |
23390464
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
東 雅之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20144983)
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研究分担者 |
茂木 勝美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335805)
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キーワード | 唾液腺 / シェーグレン症候群 / テーラーメード医療 / アクアポリン5 |
研究概要 |
1.シェーグレン症候群における口腔乾燥症発症の発症原因は明らかではない。そこで当該年度においては、唾液腺病変の初期段階であるリンパ球浸潤のメカニズムにつき解析した。その結果、(1).不死化培養ヒト唾液腺腺房細胞と導管細胞をTNF-αこて処理することにより、5-α-reductaseとaromataseの発現についてリアルタイムPCRで解析したところ、導管細胞において5-α-reductase mRNA発現の低下が認められた。(2).腺房細胞においては、TNF-α処理による5-α-reductaseとaromataseのmRNA発現に変化はみられなかった。このことは、シェーグレン症候群唾液腺において観察される、導管細胞周囲へのリンパ球浸潤の所見と合致するものであった。 2.次に、シェーグレン症候群唾液腺において認められる唾液分泌低下に関して解析を行った。一般に唾液腺に浸潤したリンパ球から分泌されるサイトカインが唾液分泌抑制に関与していると考えられている。そこで腺房細胞における水輸送膜蛋白であるアクアポリン5(AQP5)発現に及ぼすTNF-αの影響につき解析した。その結果、TNF-αは腺房細胞においてAQP5の発現をmRNAと蛋白レベルで抑制するとともに、腺房細胞からの水分泌量の抑制を引き起こした。そこでTNF-αによるAQP5発現抑制のメカニズムを解析したところ、TNF-αは腺房細胞のヒストンH4のacetylation levelを低下させるとともに、chromatin immunoprecipitation解析よりAQP5プロモーター領域でのヒストンH4のacetylation levelを低下させることが明らかとなった。したがって、TNF-αによるAQP5発現抑制はAQP5プロモーター領域における脱アセチル化に起因していることが示唆された(J Cell Mol Med, in press)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究の目的」は、シェーグレン症候群唾液腺病変における、1.リンパ球浸潤のメカニズム解明、2.唾液腺細胞への水分泌機能の付与、3.水輸送膜蛋白であるAQP5の発現抑制機構、の解明である。1.に関しては性ホルモン代謝酵素のサイトカインによる発現様式から明らかにした。2.については唾液腺組織におけるDNA脱メチル化剤処理による水分泌機能促進の面から解析・解明した。さらに3.については、サイトカインによるAQP5プロモーター領域におけるヒストンH4の脱アセチル化によるAQP5遺伝子発現の抑制を明らかにした。したがって総合的に現在めでの達成度は当初の計画以上に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果より、サイトカインTNF-αは腺房細胞においてAQP5遺伝子プロモーター領域にわけるヒストンH4の脱アセチル化により、AQP5遺伝子発現の抑制を明らかにした。そこで次年度は、抗TNF製剤(Infiliximab, etanercept)によるTNF-αの抑制が実際、腺房細胞でのAQP5発現の抑制解除につながることを明らかにする計画である。また、DNA脱メチル化剤による唾液腺細胞でのAQP5発現増強の際、認められる骨髄抑制方法(DNA脱メチル化剤の投与濃度検索)について検索する予定である。これにより、実際の臨床に応用できる方法を樹立する計画である。
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