研究課題/領域番号 |
23390464
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
東 雅之 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20144983)
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研究分担者 |
茂木 勝美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335805)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / 口腔乾燥 / アクアポリン5 |
研究概要 |
今年度の研究目的は「病変中期段階と病変後期段階における、腺房機能の安定化療法と唾液分泌機能の付与療法」の構築にある。 1. 「腺房機能の安定化療法」 すでに、腺房細胞は浸潤してきたリンパ球から分泌されたTNF-αにより、MMP-9産生が増強される結果、基底膜が破壊され腺房細胞はアポトーシスに陥り、腺房構造が破壊されることを報告した。そこで、腺房細胞がTNF-αによって引き起こされるアクアポリン (AQP)5の発現抑制機構について解析した。その結果、TNF-αは腺房細胞株であるNS-SV-AC 細胞のAQP5発現に関して、mRNAと蛋白レベルにおいて抑制した。この際、水分泌量の低下も引き起こした。一方、TNF-αはAQP5遺伝子プロモーターでのヒストンH4のアセチル化レベルを抑制することを明らかにした。すなわち、TNF-αは腺房細胞において、ヒストンH4のアセチル化を抑制することにより、AQP5発現を抑制していることを明らかにした(J Cell Mol Med 16:1766-1775,2012)。 2. 「唾液分泌機能の付与療法」 シェーグレン症候群における唾液分泌低下と加齢に伴いみられる唾液分泌低下には、免疫が関与している点から共通の現象が認められる。そこで、以下の実験を行った。すなわち、モデルマウスの加齢に伴う唾液分泌量低下を確認した後、DNA脱メチル化剤であるデシタビンを投与し、唾液分泌量の回復とAQP5プロモーター領域における脱メチル化を検索した。その結果、デシタビンにより唾液分泌量の回復がみられ、トータルDNAの脱メチル化とAQP5プロモーター領域での脱メチル化がMSPにて確認された。したがって、本研究結果は、シェーグレン症候群唾液腺病変における新規治療法の構築を示唆しているものと考える(J Dent Res 91:612-617,2012)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の研究目的は「病変中期段階と病変後期段階における、腺房機能の安定化療法と唾液分泌機能の付与療法」の構築にある。 1.「腺房機能の安定化療法」に関しては、TNF-αがAQP5遺伝子プロモーターでのヒストンH4のアセチル化レベルを抑制することを明らかにした。すなわち、TNF-αは腺房細胞において、ヒストンH4のアセチル化を抑制することにより、AQP5発現を抑制していることを明らかにした。 2.「唾液分泌機能の付与療法」に関しては、デシタビンにより唾液分泌量の回復がみられ、トータルDNAの脱メチル化とAQP5プロモーター領域での脱メチル化がMSPにて確認された。したがって、本研究結果は、シェーグレン症候群唾液腺病変における新規治療法の構築を示唆しているものと考える したがって、総合的に現在までの達成度は当初の計画以上に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度までの研究成果として、唾液腺腺房細胞におけるTNF-αによるAQP5発現抑制機構を明らかにしたことから、今後は、AQP5発現抑制機構の解除につき検討する。すなわち、TNF-αによる腺房細胞におけるMAPK経路の抑制を、転写抑制共役因子であるSMRTとHistone deacetylase (HDAC)の関係から解析する。さらに、AQP5遺伝子プロモーター領域に存在する転写因子Sp-1結合部位に対するSMRTとHDACの影響につき研究する。
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