研究課題
本研究においては、シェーグレン症候群(SS)の病期に対応した3つの治療法を構築することを目的とした。1番目の治療法は、病変初期段階であるリンパ球の唾液腺への浸潤を阻止するものである。この研究成果として、SS患者唾液腺腺房細胞においては、エストロゲンは健常人と同等に発現しているにも関わらず、アンドロゲンの発現が低下していることを明らかにし、その原因としてテストステロンからアンドロゲンへの変換酵素である5-a-リダクターゼが局在異常を示すためであることを明らかにした。2番目の治療法は、病変中期段階である腺房構造の破壊を阻止するものである。この研究成果として、炎症性サイトカインであるTNF-aは腺房細胞のみにおいて転写因子NF-kBを活性化させ、基底膜分解酵素であるMMP-9の発現を上昇させる結果、腺房細胞のみがアポトーシスを引き起こし腺房構造が破壊することを明らかにした。またSSモデルマウスを用いてNF-kBの活性化を抑制する薬剤であるセファランチン(CF)をマウスに投与した場合、投与マウスにおいては非投与マウスに比較して、著しい腺房構造の維持が認められた。このメカニズムとして、CFは腺房細胞のNF-kB活性を抑制し、MMP-9の産生を低下させる結果基底膜の分解が阻止され、腺房構造が安定化されることを報告した。さらに徳島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認のもと、SS患者に対するCFの有効性につき臨床病理学的に検索した。その結果、投与前に比較して投与後の口唇腺組織において、腺房構造の安定化がみられ、唾液分泌量の増加につながることを報告した。3番目の治療法は、病変後期段階である残存導管細胞への水分泌機能の付与である。この研究成果とした、導管細胞を脱DNAメチル化剤であるデシタビンにて処理することにより、水輸送膜蛋白であるアクアポリン5が発現誘導されることを明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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