研究課題
本研究では培養ヒト腺様嚢胞癌細胞株 ACCS に緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を導入した ACCS GFPより高転移性で癌幹細胞形質を示すACCS-M GFPを分離した。さらに、ACCS-M GFP の癌幹細胞形質の制御にT-box 転写因子BrachyuryおよびSOX2が関与しており、特にBrachyury は SOX2 の発現も制御する癌幹細胞の制御因子であることを明らかにしている。さらにACCS-M GFPのBrachyuryノックダウンにより以下について検討した。1.腫瘍浸潤に与える効果:ACCS-M GFPは、ACCS GFPと比較して著明な浸潤能の亢進を認めた。ACCS-M GFPにおいてBrachyuryを short hairpin RNA(sh RNA)を用いてノックダウンすると(それぞれ ACCS-M sh Br. GFP、ACCS-M sh Br.GFPはACCS GFPと同程度まで浸潤能が抑制された。2. 抗癌剤および放射線耐性に与える効果:ACCS-M GFP は ACCS GFPよりも抗癌剤に強い耐性をもつ。ACCS-M sh Br. GFP では ACCS GFP と同程度まで抗癌剤耐性が減弱した。また、ACCS-M GFP は ACCS GFP と比較して放射線にも強い耐性を示すことが確認されたが、ACCS-M sh Br. GFPでは ACCS GFP 程度まで放射線に対する耐性が減弱した。3.造腫瘍性、転移能に与える効果 :ヌードマウスを用いた造腫瘍性・転移能実験において ACCS-M GFPと比較して ACCS-M Br. sh GFPでは、造腫瘍性 50%、転移能 0% に減弱した。以上の結果から、Brachyury をノックダウンする事により、①癌幹細胞の浸潤抑制、②抗癌剤および放射線に対する耐性減弱、③造腫瘍性・転移能の抑制が可能であることが示唆され、癌幹細胞を標的とした遺伝子治療の有用な標的分子となり得ること考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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INTERNATIONAL JOURNAL OF ONCOLOGY
巻: 44 ページ: 1107-1117
10. 3892/ijo. 2014. 2292
巻: 44 ページ: 1614-1624
10.3892/ijo.2014.2332