研究課題/領域番号 |
23390466
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
杉原 一正 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00117516)
|
研究分担者 |
浜田 倫史 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00444894)
上川 善昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30332901)
上川 泰子 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教務職員 (70253903)
坂元 亮一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60452950)
|
キーワード | 口腔癌 / 膜型ムチン / MUC1 / MUC4 / 口腔扁平上皮癌 / 予後規定因子 / 転移 / エピジェネティクス |
研究概要 |
MUC1やMUC4は、細胞表面を保護する「粘液」の主成分である「膜型ムチン」に分類され、多くのヒト悪性腫瘍に過剰発現し、腫瘍の浸潤・転移に促進的に勧く重要な予後不良因子として広く知られている。しかし今日に至るまで、口腔扁平上皮癌におけるその予後因子としての有用性はいまだ不明である。よって本研究の第一の目的は、口腔扁平上皮癌におけるMUC1およびMUC4ムチンの発現を検索し、その予後因子としての有用性を検討することである。われわれは、まず、MUC1およびMUC4ムチンの発現が口腔扁平上皮癌の予後予測因子になりうるか200例以上の口腔扁平上皮癌患者の切除組織を用いて、臨床病理学的事項との関連性を含めて詳細に検討した。その結果、MUC1およびMUC4ムチンの過剰発現は、口腔扁平上皮癌の新しい有意な予後予測因子であることを明らかにした(Int J Cancer.2012.130:1768-76.,Cancer.2012.in press)。次に、本研究の第二の目的は、口腔扁平上皮癌におけるスプライシングやエピジェネティック調節などの膜型ムチンの発現調節機構について、口腔含嗽液を用いて高感度に検出する方法を確立し、口腔癌の早期発見や発癌リスクの予測に役立てることである。そこで、われわれは、少量の口腔含漱液を用いて遺伝子発現、DNAプロモータの異常メチル化、ヒストン蛋白の修飾を検出するプロトコルを作成し(J Oral Maxillofac Surg.2012.in press)、口腔癌症例に特異的な遺伝子異常メチル化群を同定することに成功した(Cancer.2012.in press)。今後は症例数を増やしたのち統計解析を行い、口腔癌の予後不良因子であるMUC1およびMUC4など膜型ムチンの選択的スプライシングやエピゲノム異常のうち、直接的に予後に関連し治療の標的となりうるものを見いだしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
23年度の計画であるMUC1およびMUC4膜型ムチンのタンパクレベルでの発現状況と予後との関連は既に調査が終了し、成果を国際的な英文誌に発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、口腔扁平上皮癌患者の切除組織を用いて膜型ムチン(MUC1とMUC4)のスプライシングバリアントの発現状況およびエピゲノム異常を後顧的に検討している。検討に際しての技術的な問題点は今のところみられない。統計解析が可能な症例数が収集できしだい、結果を分析し報告する予定である。
|