研究課題
脂質メディエーターは様々な疾患で重要な役割を果たしており、骨吸収性疾患においても重要性が予想されるにも関わらず、その研究はほとんどなされていなかった。われわれは、脂質リガンドや受容体の骨疾患および骨代謝関連性について研究を進め、その結果、骨吸収性疾患に関わる重要なGPCR(Gタンパク質共役受容体)の存在を確信するようになった。GPCRは、疾患治療薬の有力な候補とされている。本研究ではこれらの受容体を選定し、in vivo, in vitroで骨吸収作用の解析を行うことおよびGPCRアンタゴニストの骨吸収薬剤としての開発の可能性を検討することを目的とした。われわれはすでにPAF、BLT1という脂質メディエーターのGPCRについて、骨代謝における役割を検討した。その結果、骨吸収疾患におけるそのアンタゴニストの薬剤としての有用性を示し、報告した。本研究では、オーファンGPCRの中から候補を抽出するというこれまでと同等の手法により、骨代謝関連候補GPCRの選定を行い、解析を行った。その結果、GPCRの一つであるTDAG8が骨吸収に関与することが判明したので、その成果をまとめて発表した。すなわち、破骨細胞は骨周囲環境を酸性にすることにより骨吸収を促進するが、酸を感知するTDAG8はその骨吸収の調整を行っていることを示した。これは、TDAG8のアンタゴニスト、アゴニストを用いて、骨吸収性疾患を治療する可能性を開いたものである。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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