研究課題
1I/II期舌扁平上皮がんを搭載した組織マイクロアレイを作製し、キナーゼ抗体を含めた1000種類程度抗体を用いて蛍光免疫染色を行った。タンパク質発現は国立がん研究センター研究所でインハウスで開発された組織マイクロアレイ抗原発現定量ソフトウエアのヒストロカリキュレータを用いて、患者毎にプロファイルし、口腔扁平上皮がんの予後に関わるキナーゼ3種類と、転移に係わるアクチン結合タンパク質1種類を同定した。同定されたキナーゼ候補に内の1種類は、EGFRシグナル活性抑制に関わることが頭頸がん以外のがん種で報告されているキナーゼで、本キナーゼ活性を抑制することにより抗EGFR抗体治療抵抗性患者の薬効増強に貢献する可能性を考えている。現在、本分子を強制発現するベクターを構築中で、分子生物学的アッセイの開発を行っている。アクチン結合タンパク質については、タンパク質強発現症例のうちの30%程度に染色体上での遺伝子コピー数の増加が確認された。FISH法を用いて、国立がん研究センターおよび東京歯科大学で舌部分切除術を施行さた症例の病理標本を用いて遺伝子コピー数を確認したところ、遺伝子増幅症例は、ノーマルコピー数の症例に比べて極端に全生存期間が短かった。さらに台北医科大学と協力して、台北医科大学の手術標本で免疫染色を行い、タンパク質発現状況と予後との相関を、日本のコホートのみならず、国外の検体で検証した。本分子のリン酸化が転移活性の増強に関与することが報告されている。現在、本分子をリン酸化に関与する責任酵素とリン酸化部位をプロテオミクスに手法を用いて探索している。
2: おおむね順調に進展している
舌がんと唾液腺がんの組織マイクロアレイを作製した。舌がんの組織マイクロアレイを抗体を用いてキノームプロファイルを取得し、創薬候補を同定した。候補のうち1つは現在臨床で応用されているEGFRシグナルに抑制的に働く可能性が報告されている分子であった。本分子は、非小細胞肺がんのゲフェイチニブの抵抗性に関わる可能性が報告されているが、口腔がんでの発現に言及された報告はない。さらに本分子を高発現する口腔扁平上彼がんの全生存期間は、発現が認められない症例に比較して統計学的に有意に短く、治療標的としての可能性も高い。
臨床材料を用いて検討は着実に進んでいるが、理論的に根拠となる分子生物学的な表現系解析を本年度は重点的に行う予定である。また、抗EGFR抗体であるセツキシマブに対する薬効との相関解析や本分子阻害薬との併用による増殖抑制についても検討する予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (19件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 7件)
Br J Cancer.
巻: Apr 14;112(8) ページ: 1398-404.
10.1038/bjc.2015.104.
Anticancer Res.
巻: Mar;35(3) ページ: 1663-7
Br J Cancer
巻: Feb 17;112(4) ページ: 704-13
10.1038/bjc.2014.623.
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, Medicine, and Pathology.
巻: In press ページ: In press
10.1016/j.ajoms.2015.02.007
Histopathology
巻: Mar;66(4) ページ: 610-2
10.1111/his.12575.
10.1038/bjc.2015.116.
巻: Jun;34(6) ページ: 3157-63
Mol Cell Proteomics.
巻: Jun;13(6) ページ: 1429-38
10.1074/mcp.M113.033845.
Cancer Med
巻: Jun;3(3) ページ: 613-22.
10.1002/cam4.214.
Int J Cancer
巻: 135(6): ページ: 1330-42
10.1002/ijc.28768
Laryngoscope.
巻: Nov;124(11): ページ: E431-E436
10.1002/lary.24839
Histopathology.
巻: Oct;65(4): ページ: 465-72
10.1111/his.12405
Genes Chromosomes Cancer
巻: Apr;53(4) ページ: 366-72.
10.1002/gcc.22147.
巻: Jun;64(7) ページ: 1027-31
10.1111/his.12348.
Tumori
巻: Jul-Aug;100(4): ページ: 99e-106e
10.1700/1636.17918.
Proc Natl Acad Sci U S A
巻: Jun 10;111(23) ページ: E2404-13
10.1073/pnas.1319962111
最新医学
巻: 69 (12) ページ: 2512-2519
医学のあゆみ
巻: 251 (10) ページ: 980-983
膵癌治療 up-to-date 2015
巻: なし ページ: 91-98