研究課題/領域番号 |
23390473
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
仲野 道代 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30359848)
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研究分担者 |
大嶋 隆 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80116003)
藤田 一世 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00437386)
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キーワード | 細菌 / シグナル伝達 / バイオフィルム / ABC膜輸送体 / ATP結合タンパク |
研究概要 |
本研究では、オクラホマ大学で行われたStreptococcus mutans UA159株に対するゲノムプロジェクトと当教室で行ったNN2025株に対するゲノムプロジェクトで得られた情報を統合し、S.mutansにおけるABC膜輸送体をコードすると推定される遺伝子のスクリーニングを行った。その結果、機能がそれぞれresponspregulator、ABC膜貫通タンパク・MP結合タンパクと推定されるSmu0835、Smu0836および、Smu0837遺伝子に着目し、実験を行った。その結果、SMu0835、SMu836、SMu0837遺伝子がコードするABC膜輸送体が、これらの遺伝子の欠失によりその機能を失い、菌体内に流入した各種抗生物質を排出できなくなり、抗生物質の感受性が上昇したことが示された。さらに本研究においては、同様にNH3輸送体をターゲットとし、同様にSMu1658について検討することとした。この遺伝子はBacillus subtilisのアンモニウム輸送体と相同性が高く、S.mutansにおいてもこの機能をもつことが推測された。はじめにこの遺伝子欠失株を作製し、アンモニウムイオン存在下での増殖を調べたところ、親株と比較して欠失変異株では、明確に増殖能が低下していた。このことから、SMu1658がアンモニウムイオンの輸送体として機能していることが示唆された。この研究の成果は、これらの遺伝子がS.mutansによるバイオフィルム形成におけるシグナル伝達システムである2成分調節因子システムへの関与しているかを示しているだけでなく、グラム陽性細菌におけるABC膜輸送タンパクをはじめとする膜輸送の実態を明らかにするものであり、菌の分子動態を明らかにすることにより、薬剤耐性などの研究分野に大きく寄与すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子のスクリーニングを行い、それぞれの機能について、分析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングを行った遺伝子についての分析を、欠失変異株を用いて生物学的特性を調べることにより行う。また、さらにこれらの遺伝子をバイオフィルム形成中における発現を調べることにより、バイオフィルム形成における役割を特定する。さらに調節遺伝子によるこれらの遺伝子の発現の関与を調べ、シグナル伝達システムへの関与を明らかとする。
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