研究課題/領域番号 |
23390476
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山崎 和久 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00182478)
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研究分担者 |
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20401763)
中島 貴子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40303143)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 歯周炎 / Porphyromonas gingivalis / 脂質代謝 |
研究概要 |
本年度、日本人歯周炎患者におけるProprotein subtilisin/kexin type 9 (PCSK9) の血清中におけるレベルを健常者のそれと比較した。PCSK9は肝臓においてLDL受容体発現の制御に関わっており、この分子の発現上昇は血中LDLコレステロールの上昇と関連している。歯周炎患者ではPCSK9レベルが健常者のそれと比較して有意に高く、この傾向は年齢に関係がなかった。一方、PCSK9レベルと血中LDLコレステロールレベルの間に相関は認められなかったが、慢性炎症がコレステロール代謝に影響を与える可能性が示唆された。マウスを用いた系ではPorphyromonas gingivalis口腔感染モデルにおいて肝臓および脂肪組織(マウス精巣上体脂肪組織)における代謝関連遺伝子の発現解析を重点的に行った。その結果、脂肪組織においてはIL-6, TNF-alpha, MCP-1の発現上昇が認められ、アディポネクチンと類似の作用を示すことが報告されているCTRP9遺伝子、糖代謝に関連するPPAR-gamma, PPAR-alpha遺伝子の発現が有意に低下していることが明らかになった。また、グルコーストランスポーターであるGLUT4の発現も低下していることが示された。感染後にグルコーストレランステスト、インスリントレランステストを行った結果、感染群において有意なインスリン抵抗性が誘導されることが明らかになった。これらの変化は短期の感染でも認められた。脂肪組織における炎症性サイトカインの発現上昇は肥満でも見られ、歯周炎と肥満の関連を考える上で重要なデータであると考えられる。P. gingivalisの口腔感染は全身の軽微な炎症を誘導し、その結果脂質代謝、糖代謝のバランスを崩すことで全身の様々な疾患と関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度実施予定であった、3d(TLR3,7,9ミュータント)、CD1dノックアウトマウスにおけるPophyromonas gingivalis口腔感染モデルを作成し、Cd1dノックアウトマウスに関しては解析がほぼ終了した。3dマウスについては現在解析中である。また、脂質代謝関連遺伝子についてはPCSK9に注目して解析を行い、歯周炎患者における解析が終了し、マウス実験的歯周炎モデルにおいてP. gingivalis感染のPCSK9発現と血中コレステロールレベルに及ぼす影響について解析が進んでいる。以上より、研究計画に対しておおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度、24年度の2カ年で当初計画以上に進展してきたことから、新たに歯周病原細菌感染の糖・脂質代謝への影響を解析するうえで重要な組織である脂肪、肝臓をターゲットに組織解析を行うと同時に糖・脂質代謝関連遺伝子の発現変動を調べる。さらにin vitroにおいて培養細胞を用いてメカニズムを詳細に検討していく予定である。
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