研究課題
オートファジー(自食作用)とは、細胞の中を掃除することでアルツハイマー病やがん、心不全などの病気が起こるのを防ぐ仕組である。細胞の中に壊れたミトコンドリアや古いタンパク質などが溜まったり病原体が侵入したりすると、細胞の健康が損なわれ、その結果アルツハイマー病、発がん、心不全、糖尿病、感染症、炎症など多岐にわたる病気が起こる。それを防ぐために細胞はオートファジー(自食作用)という仕組みを持っている。オートファジーを担うオートファゴソームは、膜で包まれた直径約1μmのいびつな球形のオルガネラであり、必要に応じて細胞の中に現れ、細胞にとって有害な上述のものを取り込んで分解する働きを持つ清掃マシーンのような存在である。どこからともなく現れ役目を終えると消えるため、どこで造られているのかがこれまで40年近く論争の的になっていた。 最も強力な歯周病菌でもあるP. gingivalis は細胞質内へと侵入しオートファジーにより捕獲され分解・殺菌される。我々はオートファゴソームの形成起源について検討を加えた。その結果、オートファゴソームが別のオルガネラであるミトコンドリアと小胞体が接触する場所で造られていることを見出した。今回の研究成果によって、40年来の謎が解かれ、異なるオルガネラが協力して他のオルガネラを産むというこれまで知られていなかった現象が明らかとなった。本研究成果は英科学誌「ネイチャー」(電子版)に、ロンドン時間の平成25年3月3日18時(日本時間の平成25年3月4日午前3時)に掲載され、社会的反響を呼んだ。
1: 当初の計画以上に進展している
40年来の科学的疑問が解決され、異なるオルガネラが協力して他のオルガネラを産むというこれまで知られていなかった現象が明らかとなった。本研究成果は英科学誌「ネイチャー」(電子版)に、ロンドン時間の平成25年3月3日18時(日本時間の平成25年3月4日午前3時)に掲載され、社会的反響を呼んだ。
P. gingivalis (歯周病菌)とオートファジーとの関連性について調べる予定である。P. gingivalisがどのようにオートファジーによって認識されているのか、つまり細胞内に侵入したP. gingivalisを初期段階で認識する細胞側因子に着目して今後の研究を展開していく予定である。
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