研究課題/領域番号 |
23390484
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
向井 美惠 昭和大学, 歯学部, 教授 (50110721)
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研究分担者 |
弘中 祥司 昭和大学, 歯学部, 准教授 (20333619)
内海 明美 昭和大学, 歯学部, 講師 (40365713)
大岡 貴史 昭和大学, 歯学部, 講師 (30453632)
久保田 一見 昭和大学, 歯学部, 助教 (30240914)
中川 量晴 昭和大学, 歯学部, 助教 (60585719)
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キーワード | 急性期 / 口腔衛生管理 / 人工呼吸器関連肺炎 / 口腔内細菌 |
研究概要 |
平成23年度では、周術期患者における口腔内状態の実態を調査するとともに、口腔内の問題点の推移および口腔内細菌・真菌の状態を縦断的に検討した。 平成23年度に昭和大学病院ICUに入院した経口挿管患者30名(平均年齢75.6歳)を対象とした。ICU入室後1日以内に口唇、歯、口腔粘膜、歯肉、舌、口腔乾燥、歯の状態、口臭の問題を3段階で評価した。また初回評価時に舌背、口蓋、挿管チューブの口腔内細菌・真菌の菌種および菌量を測定した。同様の評価および計測をICUから他病棟への転棟直前にも行い、両者の比較を行った。 口腔内の問題点では舌の項目で最も頻度が高く、次いで口唇、口腔乾燥の項目であった(それぞれ62%、52%、48%)。その後、口唇の問題は比較的早期に改善傾向がみられたが、舌苔の付着はICU滞在期間内には改善されないことが多かった。口腔内細菌・真菌では、舌背、口蓋、挿管チューブいずれにおいてもCandida albicansが最も高い割合でみられ(それぞれ71%、62%、71%)、Corynebacterium、Klebsiella pneumoniae、Neisseria、streptococcus、は30~50%の対象者から検出された。その後の抜管までの期間では、EnterococcusやKlebsiella pneumoniaeは多くの対象者で検出されなくなった。一方で、Candida albicansやCorynebacteriumの検出率はほとんど変化しなかった。 急性期の挿管患者における口腔内では、舌背面への白苔の付着や乾燥などが多く認められ、口腔清掃が物理的に阻害されること、閉口不能となることが主な理由と考えられた。しかし、適切な方法で口腔衛生管理を行うことでこれらの問題を予防あるいは早期に改善できる可能性があると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔内細菌・真菌の採取場所および方法を決定し、その部位から肺炎に関与する菌種が検出されたことから、口腔衛生管理によってそれらの菌種およびコロニー数がどのように変化するかを今後計測することが可能となった。 同時に、ICUでの記録から全身状態の指標としてAPACHEや在院日数、VAP発症の有無などを用いること、それらの記録を集計する手段が確立された。以上から、全身および口腔内の評価指標が確立され、来年度以降も研究を継続できる基礎が築かれたと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に確立した口腔内評価および口腔内細菌・真菌の評価方法をもとに、対象者への口腔衛生管理方法について介入を行う。国内で口腔衛生管理に使用可能な薬液(CHX、CPC)を用いた清掃により、口腔内細菌・真菌がどのように変化するかを検討する。また、それらの変化と全身状態(VAP発症、発熱、在院日数など)との関連を調査する。
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