研究課題
人工呼吸管理下の患者では口腔や咽頭の汚染が呼吸器感染症,特に人工呼吸器関連肺炎 (VAP)などの誘引となることが知られており,様々なバンドルにおいて急性期の口腔衛生管理が感染予防に重要であるとされている.本研究では,急性期病院での口腔衛生管理システムの確立を目的に,周術期患者における口腔衛生上の問題点や口腔内細菌・真菌の種類および量の推移を検討した.都内某病院ICUにおいて,2日以上の経口挿管による人工呼吸管理が行われた患者を対象とした.全体の対象者数は185名であった.口腔衛生上の問題点は,口唇,歯,口腔粘膜,歯肉,舌,口腔乾燥,歯の状態,口臭の問題を3段階で評価した.また,舌,口蓋,挿管チューブを綿棒で擦過し,口腔内細菌・真菌の菌種と菌量を調査した.口腔内細菌・真菌については12種類を対象菌種とし,菌数を5段階で評価した.口腔衛生上の問題点では,口唇,舌,口腔乾燥の項目において高い頻度で異常がみられた.また,舌と口腔乾燥の異常は介入終了までに改善が得られた割合が低かった.初回評価時の口腔内細菌・真菌では舌,口蓋,挿管チューブいずれでもCandida 持属やMRSAなどが高い確率で検出された.口蓋ではCorynebacterium,Neisseria,Streptococcusが,挿管チューブではNeisseria,Streptococcusが多かった.その後の菌数の変化では,舌のHaematophils parainfluenzaeやMRSAが有意に減少した.同様に,口蓋のNeisseriaやStreptococcus,挿管チューブのHaematophils parainfluenzaeやStreptococcusが有意に減少した.また,口腔衛生状態の評価では口唇,舌,口腔乾燥の項目において高い頻度で異常がみられた.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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JJSDH
巻: 34 ページ: 626-636
Dent Med Res
巻: 33 ページ: 252-258