研究課題/領域番号 |
23390485
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
社会系歯学
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
八重垣 健 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (40166468)
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研究分担者 |
中原 貴 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (10366768)
石川 博 日本歯科大学, 生命歯学部, 客員教授 (30089784)
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キーワード | 再生医療 / 肝臓 / 歯髄 / 間葉系幹細胞 / 体性幹細胞 / 移植 / 無血清培地 / 硫化水素 |
研究概要 |
(1)歯髄幹細胞の継代株の確立:ヒト智歯、乳歯から歯冠部歯髄を採取して細切・酵素分解処理した。そしてDulbecco's modified Eagle medium(D-MEM)、10%FBS、1%Antibiotic-Antimycotic中でPrimary cultureを培養した。90%confkuencyに達したところで3:1の比で4代まで継代を続けた。細胞をCD117 Micro Bead Kit(Miltenyi Biotec Inc)でラベルし、MACS^[○!R] Separatorカラムを用いて多分化能の高い幹細胞を回収した。4代ごとに本操作を繰り返し、70doublings後も、未分化幹細胞と同じ細胞表面マーカーの表現を同じく維持できたことから、分化能が維持できたと考えられた。doublingの進んだ細胞からの肝臓様細胞の分化も認めたことから、上述の結論は正しいと判断した。 (2)肝臓細胞様分化:開発した無血清培地を用いCD117(+)細胞を1%insulin-transferrin-selenium-x、100mg/mL of embryotrophic factorを添加した無血清DMEMで培養した。 70%Confluentで、20ng/mL recombinant human hepatocyte growth factor、10ng/mL Oncostatin M、10nmol/L dexamethasone、1%Insulin-Transferrin-Selenium-Xを添加し肝臓様細胞を得た。また最終過程で空気に1ng/mL硫化水素を添加した。 (3)肝臓様分化の確認:Albumin、α-fetoprotein、insulin-like growth factor 1、hepatic nuclear factor 4αの免疫染色で陽性であった。Glycogen storageも見られるようになり、尿素生成も有意に上昇し肝臓様細胞であることが確認できた。また硫化水素をヘッドスペース空気に添加することによりより成熟が有意に進行した。 (4)奇形種発生の有無の確認;上記の幹細胞株と肝臓様細胞をそれぞれ6匹のヌードラットの脾臓あるいは90%切除後の肝臓に移植したところ2ヵ月後に、ヒト肝再生が確認できた。さらに腫瘍発生全く認められなかった。ラット血清中にはヒト肝臓マーカーを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
CD117発現細胞を4代毎に回収すること継代株を確立した。70population doublingsでも4代の株と同じマーカー発現を確認した。肝臓様細胞の分化を確認したが、100%近い純度で1×10^8個の数産生も容易で、ヒト移植に必要な1×10^<9-10>個の数産生も可能と判定した。予定外だが、悪性腫瘍発生の確認を行った際、一挙に、肝切除ヌードラットのへの移植実験を実施したところ、ヒト肝臓の再生が確認できた。また、肝臓分化では硫化水素の応用が非常に有効であることを発見したのも予相外の進歩であった.
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今後の研究の推進方策 |
今後、特にH24年度は、先ず肝臓細胞様分化プロトコルを確立する。肝臓様細胞のヌードラットへの移植を改めて行いプロトコルを確立する。12匹のヌードラットの肝臓について、門脈部を残し9割切除した場合、あるいは胆汁性肝硬変を作成し、これに移植する。そして、動物レベルでのヒト歯髄から肝臓再生医療をH24年度で一旦終了する。H25以降、膵臓分化、心筋分化を試みる。
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