研究課題/領域番号 |
23390498
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
小原 真理子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (00299950)
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研究分担者 |
河原 加代子 首都大学東京, 健康福祉学部, 教授 (30249172)
菅野 太郎 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (60436524)
石田 千絵 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (60363793)
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キーワード | 要援護者トリアージ / 東日本大震災 / 災害時要援護者 / トリアージの判断基準 / 要援護者対応のための判断に影響を与えた要素(判断項目) |
研究概要 |
本研究の目的は、東日本大震災の発災から亜急性期に災害時要援護者に関わった看護職および介護職へのインタビュー内容から、災害時要援護者の看護ニーズ優先度をどの時点で、どのように振り分けたかその実態を把握し、看護職の立場から災害時における要援護者対応の優先度に関する客観的判断基準となる「要援護者トリアージ」の開発のための知識基盤を構築することを目的とした。 本研究1年目の平成23年度は、東日本大震災において発災から亜急性期に災害時要援護者に関わった看護職および介護職15名の研究参加者にインタビューを実施した。その内訳は災害拠点病院に所属する看護職員3名、市立病院透析室の看護職員3名、訪問看護ステーション看護職員3名、知的障がい者施設の介護職員5名、自身が避難した避難所で救護活動を行った看護職1名であった。その結果及び分析から、要援護者への対応に関連する様々な状況、判断、行動が抽出された。実際の判断内容やそれに伴う対応は、要援護者の種類、施設や場所、対応の局面、対応した職種等によって異なっていた。要援護者トリアージに重要な行動として抽出された要援護者対応の局面には、安否確認、搬送・受入れ、避難・移動、ケア、遠方疎開が含まれていた。また、要援護者対応のための判断に影響を与えた要素(判断項目)としては、要援護者の身体的・精神的状態だけでなく、医療機器の有無、同伴家族の有無、周辺・要援護者居住エリアの被災状況(ライフラインの断絶含む)、家族の介護力、コミュニティの介護力、搬送元からの付与情報等が抽出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究対象者30名の中、23年度には15名の参加及び分析を達成した。その実績として24年7月28日、29日名古屋で開催される日本災害看護学会4題、8月23日、24日イギリスで開催される世界災害看護学会4題の演題発表が決定している。24年度4月、5月に15名のインタビューを実施、テープ起こしを終了した。現在は、その15名の分析を行っている。また24年度研究目的である、要援護者トリアージを開発していくための方法としてアクションリサーチを採用した。活動を展開する対象地域の研究参加者の構成、活動の進め方などは決定し、実践・研究・実践と進めていく基盤は概ね整備できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,昨年度得られたデータの結果及び分析を踏まえたうえで、起こりうる状況や想定される判断項目を別途考慮し、最終的な目標である災害時要援護者トリアージを開発していく。開発にあたっては、自治体、住民団体、災害医療・災害看護専門家による参加型シミュレーション等を用いて、実践・研究・検証を繰り返すアクションリサーチ的アプローチを採用する。このアプローチによる検証は、東京都A市地域防災活動ネットワークの防災セミナーやA市防災訓練等に参加する人々、また医療者や福祉従事者を対象に実施していく。
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