研究課題/領域番号 |
23390503
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田村 綾子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10227275)
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研究分担者 |
市原 多香子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10274268)
南川 貴子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20314883)
近藤 裕子 広島国際大学, 看護学部, 教授 (30205562)
南 妙子 香川大学, 医学部, 准教授 (60229763)
桑村 由美 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90284322)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 廃用症候群予防 / 脳卒中 / ADL / バーセルインデックス / 回復指標 / 姿勢 / 高齢者 |
研究概要 |
脳卒中(脳血管障害)は,死亡率こそ減少し2012年の死亡順位は第4位となった.しかし脳卒中で外来・入院した推定患者数は,133万人(2008年),粗死亡数は12万人(2012年)とまったく減少せずむしろ増加している.また,高齢化社会の脳卒中罹患による深刻な課題として,後遺症や合併症によるいわゆる「寝たきり」状態となる割合は依然として第1位(21.4%)である.脳卒中発症後の寝たきり予防のための廃用症候群予防することは,高齢化する日本社会における重要な課題である.平成23年度においては,海外・国内の文献検討を行い,脳卒中急性期における急性期・回復期・維持期を一貫して評価できるADL(activities daily of life)として,バーセルインデックス(Berthei Index)で評価・比較していくことが有効であることが確認出来た. 平成24年度においては,以下の2点の研究を行った.①脳卒中の急性期・回復期・維持期を一貫して回復指標として用いることができるバーセルインデックス(Berthei Index)を用いて,脳卒中患者の回復過程を縦断的な調査を行った(平均年齢72歳).その結果,食事・移乗・排泄の項目の改善が著しい群は,バーセルインデックス(Berthei Index)の回復が早いことがわかった.早期からベットアップを試みこれらの日常生活支援を積極的に行うことで回復することがわかった.②脳卒中患者の姿勢分析のための基礎的研究では,地域に住む脊柱後彎を認める高齢者(平均年齢82歳)を対象にKI指数測定し,姿勢評価として側面の立ち姿も診る必要性を明らかにした.この結果は,脳卒中片麻痺患者の姿勢評価の参考とすべき資料として非常に有用な成果と考える.以上の成果の一部は,学会発表・論文発表としてまとめていく予定にしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
脳卒中による廃用症候群予防プログラム検証のための急性期・回復期・維持期における看護支援方法の具体的方法を,バーセルインデックス(Berthei Index)を用いて,脳卒中患者の回復過程を縦断的な調査を行った。その結果,入院時バーセルインデックス0-5点の患者で退院時にバーセルインデックスが20点まで回復する具体的項目は,食事・移乗・排泄の3項目であった.また20点まで改善していた群は,3ヶ月後の回復がバーセルインデックスは60-75点と著しい回復をしていることが明らかとなった.看護職による日常生活支援項目特に食事・移乗・排泄を丁寧に実施することが回復促進につながることを明らかにできたのは,今回のこの研究における最大の成果である. つぎに,姿勢評価は脳卒中片麻痺患者にとって,外見の容姿の変形が,外出しない・できない要因であることから,まず高齢女性を対象として,姿勢(歩容)について客観的評価を行った.この成果を,脳卒中片麻痺患者に利用できるため,脳卒中患者の容姿・歩容についても積極的な活用に結びつける研究として位置づけていきたいと考えている. 上記2点の成果から,当初の計画以上に研究が進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
脳卒中による廃用症候群予防プログラム検証のための急性期における看護支援方法の具体的方法を,バーセルインデックス(Berthei Index)を用いて,脳卒中患者の回復過程を縦断的な調査を行った。しかし上記対象者は45名にとどまった.今後2年間で,まず,対象者数を増やし,結果の精度を確認したいと考えている.つぎに,1施設のみでの成果では限界があるため,研究参加施設を募ることを考えていきたいと考えている.全国で数箇所の施設の成果は,日本での一般化が可能と考える.さらに,脳卒中患者に対するADL評価手段についての全国調査を行い,看護職として同一の評価をあらゆる場面で実施することの大切さを普及することが,脳卒中患者の慢性期生活を視座に入れた実行可能な廃用症候群予防になるのではないかと考えている.看護職が脳卒中患者に対して,同一方法で評価していないことが,患者のADL改善の妨げの一因になっていることを明らかににすることが,患者の回復促進の一助に貢献できるのではないかと考えている.
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