研究課題/領域番号 |
23390507
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
我部山 キヨ子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20243082)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高度生殖補助医療 / 尿中カテコラミン / 生理的ストレス / EPDS / SOC |
研究概要 |
目的:ART後妊産褥婦の抑うつ傾向、SOC、尿中カテコラミンの経時的変化とその影響因子を明らかにする。 対象と方法:京都府内の1病院で,妊婦95名(自然妊娠群36名,一般不妊治療群13名,ART群46名,有効回答率95%)を対象に,妊娠末期,産後早期,産後1ヶ月の3時点で、病歴調査、EPDS(エジンバラ産後うつ尺度)とSOC(ストレス対処能力)、尿中カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の縦断的調査を実施。 結果:EPDSとSOCは妊娠末期(r=-.466,P<0.01),産後早期(r=-.592,P<0.01),産後1ヶ月(r=-.623,P<0.01)に比較的強い負の相関を認め,EPDS合計点が高値であるほどSOC合計点が低値を示した。一般不妊治療群は他の2群に比べ、3時期のEPDSは高値,SOCは低値で推移した。ART群の不妊背景において,BIT合計点とEPDSに正の相関(r=.304~.328,p<0.05),妊娠末期と産後早期のSOCに負の相関(r=-.330,-.359,p<0.05)を認め,年齢や治療期間は産後1ヶ月のEPDSとの間に有意な正の相関を認めた(r=.381,.312,p<0.05)。影響要因では,産後1ヶ月のEPDSは高齢初産婦で高い傾向,妊娠末期と産後1ヶ月のSOCは高齢妊産褥婦で低い傾向がみられた。ART群46名のカテコラミンは3時期で非ART群49名よりも低値で、妊娠末期と産後1ヶ月では有意に低値であった。ART群のカテコラミンとEPDSは、妊娠末期には弱い正の相関を示した。 結論:一般不妊治療を含めた不妊治療後妊産褥婦全般に対する早期からの支援が必要である。EPDSとSOCは密接な関連をするため、EPDSが高値を示す一般不妊治療群,抑うつ傾向あり群,高齢初産婦のSOCを高める支援が重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査1:不妊治療妊娠者の妊娠末期から産後1ヶ月までのストレスの主観的指標(EPDS,SOC)と生理的指標(尿中ストレス関連物質)の縦断調査については、平成24年度で終了し、現在学会発表及び論文作成中である。調査2:不妊治療後妊娠者の分娩期のストレス動態の特徴については、コントロール群については集まったが、ART群は途中で帝王切開に移行する事例が続いており、分娩第一期から第四期を通してのデータ収集がややスムーズでない。
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今後の研究の推進方策 |
調査2に関して、ART群は途中で帝王切開に移行することが極めて高率であることから、平成25年度についても継続してデータ収集を行う。データ収集が進まない可能性も視野に入れて、調査3として、不妊治療後妊娠者の妊婦の冷えの自覚、体表面温度(サーモグラフィ)、胎児発育と関係を企画し、主観的指標と生理的指標の検討を行う。
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