研究課題/領域番号 |
23390507
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
我部山 キヨ子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20243082)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高度生殖補助医療 / 生理的ストレス / 尿中ストレス関連物質 / EPDS / 体表面温度 / PI |
研究概要 |
調査1:不妊治療後妊娠者の尿中ストレス関連物質に関する縦断調査 自然妊娠群、一般不妊治療群、ART群の尿中ストレス関連物質及びEPDSの推移と両指標の関連を明らかにする。研究に同意を得た妊婦95名を対象に、妊娠末期、産後早期、産後1か月の3時点で、尿中ストレス関連物質とEPDSの縦断的調査を実施した。尿中ストレス関連物質の変化は3時期ともART群が低値を自然妊娠群が最も高値を示したが、3群間で差はなかった。3群とも産後早期はほぼ同値で最も低値となった。尿中ストレス関連物質とEPDSの関連は、一部に弱い相関を認めるも概ね相関はなかった。しかし、3群ともに産後早期のadrenalineとnoradrenalineおよびdopamineは中程度~強い正の相関(r=.425~.895,r=.308~.529)を認めた。 調査2:自然妊娠者と不妊治療後妊娠者の体表面温度のPIの関連性 自然妊娠群と不妊治療後妊娠群の妊娠前の自覚による冷えの実態を病歴調査と質問紙調査を行った。自然妊娠群は240名、不妊治療後妊娠群は40名であった。対象の背景は自然妊娠群29.9±4.95歳、不妊治療後妊娠群35.95±3.43歳で、後者が有意に高齢であった(p<0.0001)。身長、非妊時体重、妊娠前BMIには差はなかった。寺沢の冷え症診断基準(1987)で冷え症と判断された割合は、自然妊娠群105人(43.8%)、不妊治療後妊娠群19人(47.5%)で、妊娠前に冷えを自覚していた人は、自然妊娠群185人(77.1%)、不妊治療後妊娠群35人(87.5%)で、いずれも差はなかったが不妊治療後妊娠者の割合が高かった。冷えの程度を1(軽い)~4(非常に強い)であらわすと、不妊治療群後妊娠群は冷えの強度が強くなるほど割合が増加し、両群には差が見られた(p=0.06)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査1については学会発表をおえて、一部論文投稿中である。 調査2については、不妊治療後(高度生殖補助医療)妊娠者のデータが40名、コントロール群については240名収集した。現在更なる不妊治療後妊娠者のデータ収集を行うとともに、妊娠前の質問紙調査(後ろ向き調査)の分析中である。
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今後の研究の推進方策 |
調査2については、不妊治療後妊娠者のデータを60名程度(20名追加予定)まで収集する。なお、不妊治療後妊娠者には一般不妊治療群と高度生殖補助医療群の両方が含まれることから、高度生殖補助医療群のみで50名近くになるようにデータ収集を継続する。その後、自然妊娠者との生理的指標の比較を行い、不妊治療後妊娠者の生理的ストレス指標の特徴を明らかにする。
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