研究課題/領域番号 |
23390508
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 いずみ 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10195977)
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研究分担者 |
渡邊 香織 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30281273)
岩崎 三佳 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70584176)
戸田 まどか 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90388695)
清水 彩 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90552430)
小河原 みゆき 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (00636061)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 周産期 / 安全 / 質の保証 / 実証データ / 分娩 |
研究概要 |
本研究の目的は実証データを基盤とした分娩期の分析を発展継承し、分娩期以外の周産期の分析を行うこと、またハイリスクな状態にある分娩期の看護に関する安全性と質の保証に関する分析を実施する事である。 目的1:妊娠期・分娩期の医療・看護の提供方式について「助産外来」、「院内助産」に関する分析を実施した。「助産外来」「院内助産」の選択基準として「妊娠リスクスコア」を用い0点から3点までを本研究の助産外来および院内助産の対象とし、妊娠経過および分娩アウトカムを分析した。結果として妊娠リスクスコアが0点から3点の対象者においては、助産外来群および医師外来群において妊娠経過に有意差は認められなかった。妊娠リスクスコアが0点から3点の対象者においては、院内助産と医師立会分娩群において分娩アウトカムにおいて有意差は認められなかった。「妊娠リスクスコア」による助産外来、院内助産の対象者の選択は有効であり、適切に対象者であるローリスク妊婦の選択が実施できれば、助産外来・院内助産の安全性が示唆された。 目的2:近年急速に増加している「混合病棟における分娩」の安全と質に関する分析を実施した。文献検討から、2012年の病院における分娩のうち、混合病棟における分娩は80.6%であった。そこで、産科、婦人科、外科、内科の混合病棟であるA病院にて、分娩第1期から分娩第4期に、産婦に対し、助産師と看護師が何という看護行為を何分間、いつ提供しているかについて、2週間24時間リアルタイムマンツーマンタイムスタディを実施し12例の分娩を分析した。12例の分娩所要時間の最大980分最小63分平均370±261であった。助産師・看護師が提供した看護時間の総計を総看護時間とするとそれぞれ1,559分、171分、553±378分であった。本結果をもとに、混合病棟における安全と質について継続的に分析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分娩期以外として妊娠期の妊婦の健康診査について、妊娠初回期、30週、37週、38週の分析を行い、分娩期以外の安全と質に対する詳細の調査を実施することができた。医療・看護の提供方式について「助産外来」に関する分析を実施した。「助産外来」の選択基準として「妊娠リスクスコア」を用い0点から3点までを本研究の助産外来の対象とし、妊娠経過を分析した。同様に、分娩時の選択結果として院内助産の対象を妊娠リスクスコアが0点から3点の対象者とし分析した。助産外来、院内助産という今日課題について安全と質について分析できた意義は大きい。「妊娠リスクスコア」による助産外来、院内助産の対象者の選択は有効であり、適切に対象者であるローリスク妊婦の選択が実施できれば、助産外来・院内助産の安全性が保たれる。分娩期のみならず、妊娠期からの健康診査に助産師がかかわることできめの細かい診察と保健指導が可能となり、その結果異常がいったん発症してもそれ以上悪化させないことに貢献できれば、妊婦胎児の安全につながる。助産師が保健指導のみならず、診察をすることで助産師の診断能力があがり、今後産婦人科医師が減少しさらに、分娩に立ち会いをする産婦人科医医師の数の減少が、予測されることから助産師の診断能力を訓練し、医師と助産師の協働を図るために非常に良い機会となる。その目的からも、当初の到達以上の内容を報告できると思われる。これまで分娩に関する調査には、齋藤以外の実測による調査がほとんど存在しないことから分娩時の実証データによる安全と質の保証に関する貴重なデータを提供できる。
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今後の研究の推進方策 |
混合病棟における分娩期の看護を24時間にわたり詳細に分析することで、分娩期の管理に関する安全と質に対しこれまでの産科単科である産科病棟で行っていた看護との違いを明らかにすることが今後の課題である。分娩時間や看護時間のみならず分娩のために病院内で経過した時間と、看護を提供した時間の総和である総看護時間との比率なども今後は医療・看護管理上の重要な示唆となる。分娩経過時間、看護時間、施設内経過時間との関連を分析する事、また医学的な分娩経過のどの時点での医学的判断をしての看護行為であったのか、看護行為の実施時間であったかを事例ごとの詳細の分析が必要となる。12事例のうちに2事例の緊急帝王切開の事例を測定できたことから、緊急帝王世界は一般的には予定帝王切開に比べて重症度が上がることから緊急帝王切開に至る過程や、看護行為の実施時刻が医学的な経過に対して適切な時期に提供できていたのかを今後分析する。さらに、分娩が行われている間に、混合病棟の別の患者に看護行為が充分に提供できなかった可能性があるため、この分野においても多角的な分析が必要である。それによって病棟全体の安全と質についての詳細を明らかにすることが可能となり、あらゆる状況下における分娩の安全性と質の保証が可能となる。また今後再度調査を実施し事例を増やすことにより、カテゴリーを統一して分析することで信頼性・妥当性をあげる。
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