研究概要 |
本研究は、視覚的な行動分析と運動量に加え、音声情報の複数のデータソースを加え、乳児の意識状態において、より安定した自動判定精度を向上できるハイブリッドセンシング睡眠評価システムの開発を行うため、以下の3点を目標とした。1. 昨年に引き続き、動作と音声によるシステムの自動判定の開発にむけて機器を実装する。2. 小児睡眠研究者との討議を行いシステムを洗練させる。3. パイロットデータ収集を行い、システムの信頼性の検討を行う。 1.については、システムについて睡眠の録画にはビデオカメラ(SONY, Handycom, HDR-PJ760)を使用し、大容量の画像データをカメラのハードに直接的に録画し、夜間の暗環境ではビデオカメラのnightshot機能(赤外線)を利用した。音声はボイスレコーダー(TASCAM)を用いて録音補助を試行した。結果的に、補助的に録音した音声は分析にたえず使用できなかった。今後は、ビデオ収録データにて、画像・音声の分析を進めていく。運動量の測定には、従来通りactiwatchを使用し、今後システムに結果を追加していく予定である。 2.については、学会の参加や会議をもつことで研究者とのネットワークを強化した。6月の日本睡眠学会で、少数ではあるが小児睡眠研究者とのミーティング、9月ヨーロッパ睡眠学会や12月の小児睡眠学会に出席し、乳児の睡眠・覚醒の自動判定機器の方法や用途、汎用性について討議した。また、音声情報に関しては、新たに工学系の視点から、乳児の音声分析の方向を検討した。 3.については、ハードウェアの実装をもとに、乳幼児の生後早期から6か月までの睡眠情報を集積した。生後2週目、4週目、7週目、12週目、25週目の5時点を、5事例の協力を得て、縦断的に画像・音声・運動量のデータ収集を行った。本データを使用して、自動分析の元データとし、システムの開発に役立てる。
|