研究課題/領域番号 |
23390515
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐々木 明子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (20167430)
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研究分担者 |
小野 ミツ 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60315182)
森田 久美子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (40334445)
田沼 寮子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70336494)
川原 礼子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40272075)
山崎 恭子 東海大学, 健康科学部, 准教授 (70347251)
遠藤 寛子 東海大学, 健康科学部, 講師 (80609363)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高齢者 / 予防訪問 / 介護予防 / 看護職者 / 実施内容 |
研究概要 |
健康増進や介護予防が必要な高齢者を早期に把握し対応するために高齢者への予防訪問が有用であると考えられる。しかし、その実施方法と高齢者の心身面、生活面を含めた総合的な効果は十分に明らかにされていない。そこで、高齢者全数への予防訪問の実施方法と総合的効果を明らかにすることを目的に、A町B地区75歳以上の高齢者を対象に看護職者による初回の予防訪問を行った。 予防訪問を行った高齢者204人の平均年年齢は、81.6歳であり、男女で年齢に有意な差はみられなかった。家族構成は51名(25%)の人が一人暮らしであった。障害高齢者の日常生活自立度は、自立が91人(44.6%)、認知症なしは、156人(76.5%)であった。基本チェックリストによる二次予防該当者は、146名 (71.6%)であり、女性のほうが男性より有意に多かった。予防事業の内訳では、「運動器の機能向上」が122人(59.8%)と最も多く、次いで「認知症予防・支援」81人(39.7%)、「口腔機能の向上」78人(38.2%)の順だった。 過去1年以内の転倒の経験は、全体では78人(38.2%)が転倒の経験を有していた。転倒に対する不安は158人 (77.5%)にあり、過去1年以内に転倒経験がある人は、転倒の不安が有意に多かった。 継続訪問が必要な高齢者は12人であり、継続支援ができた。訪問時の実施内容は、すべてに実施した健康と生活に関するアセスメントの他、通院状況の確認と指導」73.5%、「服薬の状況確認と指導」69.6%、「本人の訴えの傾聴」65.7%、「介護予防教室の参加勧奨、パンフレットの配布」42.7%、「保健事業に関する説明・情報提供」が27.5%の順に多かった。看護職者は、高齢者とコミュニケーションをとり、本人の話を傾聴し、心身の健康と生活の把握、ニーズ把握、保健指導、各種事業や支援に繋ぐ役割を果たしていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
看護職者による初回の予防訪問を行政機関や関係者の協力のもと、A町B地区の75歳以上の高齢者を対象に実施でき、予防訪問対象高齢者の心身の状況と看護職者の実施内容をまとめることができた。これらの結果から、高齢者の健康増進活動や介護予防活動推進のための方策を明らかにすることができた。また第2回目の予防訪問実施への準備ができた。 さらに、別な市の75歳以上の高齢者への予防訪問の実施計画を立てられ、次年度の研究実施に向けた準備ができた。 また、日本の状況と高齢者の全数への予防訪問を先駆的に行っているフィンランドやスウエーデンの実施方法を比較検討でき、我が国の次年度以降の実施方法が明確になり、研究がさらに推進できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の予防訪問の結果から、平成25年度以降は「転倒予防」を目指した「運動機能の向上」、「認知症予防・支援」および「口腔機能の向上」を強化した啓発活動や予防訪問を推進していき、1年後の効果を検証していく予定である。 さらに、別な市の75歳以上の高齢者への予防訪問の実施計画を立て、次年度の研究を実施していく。
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