研究課題
基盤研究(B)
チュニジア北部Cap-Bon地域、および中国白洋淀流域等を中心とし、河川水、地下水、湧水等の水文調査を実施するとともに、水サンプルの採集を行い、無機溶存成分、同位体分析等を行った。併せて、地下水位の観測、河川流量の観測等も行い、トレーサー解析と水文解析結果の融合により、地表水と地下水との交流関係について、検討を行った。Cap-Bon地域では、海岸部において地下水位の顕著な低下と、海水の浸入を示唆するデータが得られ、季節的な地下水位の変動に伴い、こうした地表水と地下水との交流関係が、動的に変動することが示唆された。さらに、チュニジア北半分の全域において、地表水、および浅層地下水のサンプリングを行うとともに、これら地域において、継続的な降水サンプルの採取体制を構築した。こうして得られた水サンプルは、水素・酸素安定同位体を中心とした同位体分析に供し、チュニジア北半分全域の陸水安定同位体マップを作成した。このデータをもとに、チュニジアにおける陸水の起源や再循環過程について解析を実施し、当地域の水循環過程を検討する上での基盤情報を整備した。チュニジアではこれまで、IAEAによる降水サンプリング地点が、4カ所あったのみで、地表水の安定同位体データは、皆無であった。本研究のセータセットは、チュニジアにおける同位体水文学研究のレベル向上に寄与し、またきわめて貴重である。一方、中国白洋淀流域においても、河川水、浅層地下水、深層地下水、湧水等のサンプリングと無機溶存成分、安定同位体等の分析を実施した。その結果、一部において浅層地下水と深層地下水の交流を示唆するデータが取得された。平成24年度は、こうしたデータの解析を進めるとともに、フィールド調査を継続し、データの検証等を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
フィールドにおけるデータが順調に収集されている。
昨年度収集したデータを解析する予定である。
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