研究課題/領域番号 |
23401002
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
辻村 真貴 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10273301)
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研究分担者 |
恩田 裕一 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00221862)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 半乾燥地 / 水資源 / 地下水 |
研究概要 |
半乾燥域である、チュニジア北部の沿岸流域および内陸流域、中国白洋淀湖流域等を中心とし、河川水、地下水、湧水等の水文調査を実施するとともに、水サンプルの採取を行い、無機溶存成分、同位体分析等を用いたマルチトレーサー解析をを行った。 チュニジア北部地域の内陸流域では、とくに乾期において、河川と地下水との流出・涵養域が小スケールで変動するため、河川の流量の空間変動がきわめて大きい特徴が認められた。さらに、河川から地下水への涵養量を、河川流量の変動と安定同位体・無機溶存成分を用いた物質収支解析により求めると、日量最大約1 mmと、顕著に大きな地下水涵養が河川水により生じていることが示された。このことは、半乾燥域の地下水-地表水交流プロセスに関し、きわめて重要な知見を加えたものとして、評価される。 中国白洋淀湖流域では、保定市等、地下水過剰揚水地域近傍において、深層の地下水において安定同位体比特性に、浅層地下水のそれが一部みられるという特徴が認められた。地下水水頭に関する既存のデータ等を考慮すると、地下水の過剰揚水に伴い、揚水深度近傍で水理水頭の顕著な低下が生じ、それを補填するために比較的浅層の水理水頭も低下を生ずることで、浅層帯水層から深層の帯水層に向けた、鉛直下方方向の誘発涵養が生じていることが示唆された。 以上のように、半乾燥域における地表水および地下水資源を考える上で、地表水-地下水、浅層地下水-深層地下水という、異なる水体あるいは異なる帯水層間における水の交流関係が、きわめて重要であることがデータにより示され、半乾燥域水文学にとって、重要でかつ新たな知見が加えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィールドにおけるデータが順調に収集され、解析が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集したデータを解析し、対象地域における地下水-地表水循環プロセスに関するモデルを構築するとともに、半乾燥域の水循環系に関し普遍的な知見を整理する。
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