研究課題/領域番号 |
23401008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中西 徹 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30227839)
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キーワード | 貧困 / フィリピン / コミュニティ / 社会ネットワーク / 貧困削減政策 |
研究概要 |
研究代表者中西は、マラボン市コンセプション村について、社会ネットワークデータ収集を行いつつ、参与観察によって、他地域との紐帯についての調査を実施した。この結果、(1)調査地全体にかかわる政治・経済・社会・文化に関する基礎データの収集,(2)対象小社会集団とその単位主体(個人,家族,親族集団など)の特定化,(3)親族・姻族関係のネットワーク・データの収集,(4)親族・姻族関係以外で社会集団に大きな影響を有する社会ネットワーク(同郷者関係,儀礼親族関係,回転講関係、同窓関係)の特定化の4項目の作業を終え,マクロの経済指標,地域開発政策などの彼らを取り巻く外的条件の変容を長期的に把握するための準備を整えることができた。 連繋研究者青山も、これらの調査を補完すべく、セブー市とダバオ市の調査を実施し、ビサヤ地方および少数民族における社会ネットワーク・データの収集につとめた。さらに、研究協力者Ferdinand Maquitoは、島全体として有機農業を推進しているネグロス島における農民間の社会ネットワークに着目し、準備調査を終えた。 これらによって、低地フィリピン人社会と少数民族社会における社会ネットワークの包括的な分析のための基礎を築くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請の段階で考えていた初年度の計画はほぼ達成することができた。また、その段階では考慮に入れていなかったネグロス島における有機農業政策と社会ネットワークについての分析の土台も完了することができた。 もっとも、調査直前に生じた暴風雨の影響で、調査時期を動かす必要が生じ、遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、不慮の事象で生じた遅延を取り戻しつつ、低地フィリピン人社会(都市部・農村部)と高地少数民社会の社会ネットワークについて、James Scottの政治学的分析を発展させるべく、比較分析の土台を作り上げたい。 この上で、(1)米作地帯(中部ルソン地方ヌエバ・エシーハ州)と砂糖プランテーション地域における有機農業の展開(西ビサヤ地方・東/西ネグロス州)の有機農業の比較、(2)ミンダナオ地方における海洋少数民族との比較を軸に、新しい貧困緩和政策のオプションを提示したいと考えている。
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