研究概要 |
本研究はタンザニアにおける地域開発実践を事例として、諸アクター間の相互作用によって創り出される動的で定性的なプロセスを継続的にモニタリングすることにより、内発性やキャパシティの発現過程を検証することと、住民組織の役割を明らかにしていくことを目的としている。2012年度は、8月9日から9月6日の期間タンザニアに渡航し、ムビンガ県にてフィールド調査を実施した。 ムビンガ県K村の水力製粉機や給水施設を一定の「公共性」を持った資源としてとらえ、資源の利用・管理に関わる組織や規範・制度の変容に焦点をあて調査を行ってきた。今回の調査では、その後の給水施設の利用・管理を巡る状況と水力発電事業の進捗状況について調査を行った。村の中心にある小中学校・診療所・教会には既に電気が来ており、村の収入向上活動として携帯電話やバッテリーへの充電サービスが始まるなど変化がみられていた。これまでも村の事業に中心的に関わってきた住民組織「セング委員会」は、水力発電事業においても推進母体となり力を発揮していた。こうした農村電化に向けての動きが進む一方で、各世帯への費用負担が大きいことから、電化に対して村内で温度差がみられた。K村での住込み調査に加え、農業省等でもインタビューやデータ収集を行った。 また、過去10年程の研究と実践活動の成果を地元にフィードバックするために、2011年の調査時にワークショップを実施した。帰国後、スワヒリ語の報告書(Kurosaki, R, D.Mhando, M.Araki, S. Nindi, WARSHA: Mpango wa Kutembeleana Kindimaba na Kitanda(タンザニア・ムビンガ県における地域開発実践に関するワークショップ報告書)pp.40. 2012年)を作成し、2012年の訪問時に農民や関係省庁・機関に配布した。
|