本研究の目的は、母子保健状況が著しく劣悪な西アフリカのリベリアとシエラレオネにおける産科瘻孔(フィスチュラ)という「疾患」に注目し、その疫学的動向とそれに起因する「問題」を、地域研究やソーシャルワークといった多角的な視点から調査研究することにあった。 国内での文献研究に加えて、リベリアとシエラレオネを訪問して政府機関、国際機関、大学、医療機関等の関係者に聞取調査を実施するとともに、フィスチュラサバイバーの女性たち約40名に対してインタビューを行った。そこからは、フィスチュラがなお広範にみられる状況や治療体制の不備、そして、サバイバーの女性たちが抱えるスティグマなどの問題が浮き彫りになった。
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