2013年度は以下のとおり現地調査をおこなった。 1.渡辺: スライアモン語現地調査, 2013年8月(約5週間) 2.清沢(研究協力者):ハルコメレム語およびリルエット語現地調査,8月(約4週間)および2月~3月(約3週間) 研究協力者(海外共同研究者)のマリアン・ミスンとニコラス・エバンズとはメールによって連絡を取り続けたほか,渡辺はミスンと2014年1月に,さらに渡辺は両者と2014年2月に実際に会って研究打ち合わせをおこなった。国内の研究者同士も主にメールを使っての連絡をとったが,機会を作って実際に会って,研究打ち合わせをおこなった。 本研究では,特に,自然談話のなかで節と節がどのように結びつくか考察をおこなってきた。参加者が取り組む対象言語はいずれも今まで収集されたテキスト(自然談話)が少なく,その採録,書き起こし,話者との発音表記(書き起こし)や媒介言語への訳の確認 など,基礎的な作業を地道に続けるしかない。いずれの言語も話者数が少なく,このような資料を集めるのは緊急の課題であり,単語や単文を集める以上に労力はかかるが,後世に資料を残すためにも重要であると考えられる。特に複数の節がどのようにつながっていくか,そしてなかでも,従属節が主節なしで現われる現象は,自然談話ではなくては出てこないデータである。そのようないわゆる言いさしの現象については,渡辺とエバンズが中心となっておこなった2011年のシンポジウムの成果論集をこの2名で編集中である。
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