研究課題/領域番号 |
23401028
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
ロバート ジェイコブズ 広島市立大学, 広島平和研究所, 准教授 (60423969)
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キーワード | ヒバクシャ研究 / トラウマ研究 / 核兵器実験 / 核戦争 / 放射能の影響 / 植民地主義 |
研究概要 |
平成23年度は、いくつかの主たる研究群において大規模な予備的研究を行い、世界各地の核実験国において一次資料調査を実施した。また、放射能の影響を過去に受けたり、現在も受けているコミュニティに住む若者間の連携構築などの応用研究に着手した。また、国際学会での研究発表、論文審査付のジャーナルへの論文掲載やメディアから当研究に関して多くのインタビューを受けるなどした。 1)オーラル・ヒストリー聞き取り調査:フランス、英国、および米国の核実験に参加した軍関係者へ聞き取り調査を行った。また、様々な団体が運営する核実験に関する資料館において、資料調査を行った。オーストラリアと米国(ネバダ)の核実験場において調査活動を行うとともに、それぞれにおいてヒバクシャから聞き取り調査を行った。 2)資料収集:フランス、英国、オーストラリア、および米国の核実験に関する資料を収集し、放射能に汚染された個人やコミュニティに関する文献資料を得た。 3)放射能の影響を受けるコミュニティの若者間の対話と連携を構築するため、ソーシャルネットワーキング技術を利用する活動を開始した。マーシャル諸島の「核の犠牲者および生存者追悼記念日」である3月1日に、広島市立大学においてスカイプを利用し、広島市立大学とマーシャル諸島の学生が対話を行ったのはその一例である。 4)いくつかの国際会議において研究成果を発表、複数のジャーナルに関連論文を掲載し、複数の国々のローカル・全国メディアから、当研究に関する多くのインタビューを受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
多くの異なるコミュニティのヒバクシャ・グループとの連携や、核実験に関する資料収集およびオーラル・ヒストリー聞き取り調査は予定どおりだが、ソーシャル・ネットワーキング技術を用いて、放射能の影響を受けるコミュニティの若者間の対話と連携の構築を開始した点において、計画を上回る進展があり成果があがっている。これはそれぞれのヒバクシャ・コミュニティの年長者の要請によるところが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
今後2年間、放射能の影響を受けた地域のヒバクシャに引き続きオーラル・ヒストリー聞き取り調査を行う。また、様々なヒバクシャ・コミュニティ間の若者のネットワーク構築をさらに押し進める。若者が自分自身で、各自のコミュニティにおいて聞き取り調査が行えるよう指導したり、ヒバク体験により産み出された文化的産物の収集・管理などを集中的に行い、当研究のためのウェブサイトの基本となるテンプレートの準備を行う。
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