研究課題/領域番号 |
23401030
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
沼本 宏俊 国士舘大学, 体育学部, 教授 (40198560)
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研究分担者 |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (30323223)
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (40553293)
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キーワード | 考古学 / アッシリア / 粘土板文書 / 楔形文字 / シリア / テル・タバン / メソポタミア / 中期アッシリア |
研究概要 |
本年度も本研究の中核であるテル・タバン遺跡の発掘調査は、シリア情勢が全く改善しなかったため中止した。現地調査は同遺跡と同一文化圏に属す北西メソポタミアのトルコ東南部地域に拠点を移した。同地域はアッシリア時代の拠点都市テル・タバンとの歴史・文化的関連の究明や蓄積した研究成果をより深化させるうえで格好の地域である。 同地域内に所在する遺跡の踏査を2012年9月に計20日程度実施した。ルートは以下の通り:アダナーカラテページンシルリーガジアンテップーマラシューマラトヤーデレンデーギュルンーキュルテペーカイセリーネベシェヒルーシリシアンゲイトータルスーアダナ。上記地域内の遺跡並びに交通網の調査を行い、本研究課題遂行の主眼とするアッシリア帝国時代(前2千年~1千年紀)の遺跡を多数確認し、テル・タバンを取り巻く地政治学的環境を明らかにした。さらに物質文化の近似生を確認し、今後のテル・タバン出土遺物の研究を行ううえで貴重なデータを得ることができた。 [国内での研究] 国内に保管しているテル・タバンの調査で出土した古バビロニア時代~新アッシリア時代の約3000点の土器片の実測図化、観察、トレース、写真撮影、データベース化を前年度に続き行った。05~10年度の調査で出土した楔形文字資料については、山田と柴田が、写真とコピーを元に大学院生の補助者とともに記録と解読にあたった。 [調査・研究成果の報告]テル・タバン出土古バビロニア文書と中期アッシリア文書の解読と編纂、テル・タバン文書に基づいた古バビロニア時代(前18世紀)、中期アッシリア時代(前13~11世紀)の北メソポタミアの歴史と社会に関する研究、その成果となる学術論文を作成中である。05~10年度の発掘調査報告書の刊行に向けての準備(図面、原稿、版下作成等)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度もシリアの政情不安により、テル・タバン遺跡の発掘調査および博物館に保管されている文字資料の解読・保存調査が実施できなかったため、新たな考古・文字資料の発見もなく研究に大きな進展はない状況である。しかし、トルコ東南部地域の調査を実施した結果、ティグリス川上流地域との物質文化の類似性を確認し同時に、アッシリアの西方拡大の地理的・環境的理解を深化することができた。
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今後の研究の推進方策 |
23年度から続くシリアの政情不安は、依然好転する兆しがなく、今後のテル・タバン遺跡の発掘調査は不可能と思われる。故に、25年度もテル・タバンと最も関連性が高い前2千年紀初頭から前1千年紀の歴史時代の生活層を包含するトルコ東南部シリア国境沿いのハブール川上流域に分布する遺跡群に重点を置き、8月中旬から約一ヶ月間の遺跡踏査を実施する。さらに前2千年紀半ばからアッシリア王国の広域支配の一部にあったテル・タバンの地政学的環境を正しく把握すべく、ハブール川の北を東西に走るアッシリアの行軍・交易ルートのシステムを理解するため、同地域内の交通網の調査を行う。 上記の調査以外に、同じ北西メソポタミアに属すイラク、スレイマニア県での遺跡群の踏査を可能であれば予定している。
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