研究課題
本年度もシリア情勢は全く改善せず、本研究の主眼であるシリア、テル・タバンの発掘調査は実施できなかった。そのため、関連研究として同じ北メソポタミアに属すトルコ東南部とイラク北東部の遺跡踏査を実施した。1.トルコ東南部の遺跡調査。同地域内に所在する下記の遺跡踏査を5月、3月に計3週間実施した。ディヤルバクル県:ピルフセイン、ウチテペ、ジヤラトテペ、サウル等。マルディン県:キジルテペ、オルタキョイ、ディクメン、ギルナバス等。ウルファ県:スルタンテペ、ハガネヒユク、ハラン等。上記の遺跡及び同地域の交通網の調査を行い、アッシリア帝国時代(前2千年~1千年紀)のテル・タバンを取り巻く周辺地域の地政学的環境を明らかにした。さらに表採遺物から物質文化の類似性を確認し、今後の北メソポタミアの遺物研究を行う際の貴重なデータを得ることができた。2.イラク北東部クルディスタンの遺跡調査。クルディスタン地方は、ザグロス山麓からメソポタミア平原へつながる要衝地として繁栄し、先史時代から歴史時代にかけての多くの重要拠点遺跡が存在する。しかし、大半の重要遺跡は未調査のため、現地考古局関係者は外国隊による早急な発掘調査を積極的に要請している。現地の治安も安定しており、近年、欧米隊による発掘調査が急増している。研究代表者と分担者2名は、同地方の発掘調査に向けて11月初旬から二週間、イラク共和国クルド自治区のスレイマニア県とエルビル県を訪問し、遺跡と調査状況を視察した。本研究の主眼である紀元前2・1千年紀の文化層を包含する計10カ所の遺跡を視察し、さらに考古局長、大学考古学部長らと今後の発掘計画に関する打ち合わせを行った。視察遺跡の中でスレイマニア県ではシャフリゾル盆地最大級の遺跡ヤシン・テペと、エルビル県では南西部のアッシリア帝国の拠点大形遺跡アウェナを発掘調査候補遺跡として現地考古庁に申請した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) 図書 (2件)
Orient
巻: 49 ページ: 31-50
Malibu: Undena Publications, 2011, ZA 104/1
巻: 29 ページ: 印刷中
10.1515/zava.1894.9.1.42
Publications de l’Institut Historique-Archéologique Néerlandais
巻: なし ページ: 印刷中
Schriften der Max Freiherr von Oppenheim-Stiftung
巻: 18 ページ: 167-179