研究分担者 |
呉羽 正昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50263918)
石井 久生 共立女子大学, 国際学部, 教授 (70272127)
堤 純 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (90281766)
浅川 泰宏 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (90513200)
佐藤 大祐 立教大学, 観光学部, 准教授 (20405616)
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研究概要 |
本研究は,ヨーロッパの文化的核心をなすカトリック地域,なかでも宗教の世俗化が進み,脱カトリック化が顕著とされる現代スペインにおいて,カトリック聖地への巡礼が興隆している現象に焦点をあて,現代の巡礼を支えている宗教的ツーリストの行動とスペインの観光空間の構造について明らかにするものである。具体的にはサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の参与観察調査を行い,宗教資源・観光資源としてのサンティアゴ巡礼路と巡礼宿,そしてその全体から構成される巡礼システムを現地調査により実証的に解明することを通して,伝統的な聖地が再構築されている状況の解明を目的とする。さらには,聖地巡礼の維持・発展とツーリズムとの関わりの理論的な検討を通して,ヨーロッパ・カトリック地域における宗教をとりまく現代的状況が顕わとなり,宗教の衰退と復興にかかわる人文学におけるポスト世俗化論の進展を企図している。 本年度は第二次調査を実施する。調査内容については,第一次調査の4項目をさらに細分化するかたちで実施する。サンティアゴ市内において,サンティアゴ巡礼協会,サンティアゴ・デ・コンポステーラ教会,同大学宗教社会学教室に対しても聞きとり調査,資料収集を行う。またツーリストのほかに,カトリック信徒による巡拝団による集団巡礼も行われているので,必要に応じてこうした宗教的な巡礼団への聞き取りを実施する。具体的な調査内容は次の4点である。 1)徒歩巡礼による参与観察とツーリスト・宿泊施設への聞きとり調査 2)地域のカトリック信徒における教会利用の実態とツーリストへの対応 3)地域社会(行政・観光業界など)における観光戦略と動向 4)サンティアゴ巡礼にかかわる基礎資料の入手
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今後の研究の推進方策 |
昨年度はスペインの観光動態および巡礼状況にかかわる包括的資料の収集を行った。本年度は参与観察により,観光客・巡礼客の実態調査を行なう。現在の所,問題点の発生は想定していないが,万一現地調査の遂行が困難である場合,現地協力機関(サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学)の研究協力者による研究支援を仰ぐ予定である.
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