研究課題/領域番号 |
23401038
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
神谷 浩夫 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40192546)
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研究分担者 |
中川 聡史 神戸大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10314460)
阿部 康久 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (10362302)
鍬塚 賢太郎 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (40346466)
中澤 高志 明治大学, 経営学部, 教授 (70404358)
由井 義通 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80243525)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人文地理学 / 海外就職 / グローバル化 / 若者 |
研究概要 |
平成24年度と25年度のバンコク調査で約55人の現地採用日本人にインタビューすることができた.昨年の秋には上海調査のまとめの学会発表を行い,今年3月にはバンコクでの調査結果の概要を報告した. 調査は,労働供給側に関する調査と労働需要側に関する調査の両面から行った. 労働供給側からのアプローチとして,日本企業で働く現地採用の若者に対するインタビュー調査をバンコクで行った.調査では,彼/彼女らが海外で働くという選択肢を選んだのはなぜか,海外における仕事と生活の実態を明らかにし,彼/彼女らがそれをどのように評価しているのか,彼/彼女らが今度どのような人生を送ろうとしているのかを把握することを目的とする.上海と比較すると,タイは東南アジアの自動車産業の拠点であるため,現地採用の日本人は男性の割合が高いことが判明した.バンコクはバックパッカー旅行者が多く,社会規範が緩やかなため,日本社会を逃避してバンコクに移り住む若者が見られるのも特徴的であった. 労働需要側からのアプローチとして,①日系企業のグローバル展開を明らかにするために,経済産業省の『企業活動基本調査』,東洋経済新報社の『海外進出企業総覧』を分析した.その結果は,鍬塚が2013年秋の人文地理学会で発表した.②現地調査の際に,現地の新聞や日本人会等のコミュニティの会報,ウェブサイトに掲載された求人広告のデータを収集し,その特徴を分析した.昨年秋の日本地理学会では,バンコクにおける現地採用日本人の求職活動に果たす人材紹介会社の役割について由井が口頭発表を行った.③現地採用の日本人を採用している日系現地法人企業の人事担当者にインタビュー調査を行い,現地での事業展開と現地採用日本人を雇用する理由や現地の人では代替できない業務を任せているのか否かについて明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に上海での調査はほぼ完了し,平成25年度にはバンコクでの調査もほぼ完了した.今後は調査結果の分析を深め,学会で最終の報告をするとともに,論文化を進める段階にある.デュッセルドルフ調査もすでに着手しており,今後はで現地調査でできるだけ多くのサンプルを集めることに全力を尽くすことが必要である.
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今後の研究の推進方策 |
上海・バンコクでの調査はほぼ完了したので,来年度以降はデュッセルドルフ調査に重点を置いて実施し,あわせてドイツ人調査の進展も図る.また,上海調査と播億調査の最終的な調査結果を学会で報告し,論文化の作業も進める.デュッセルドルフ調査の中間報告も,学会で行う予定である. デュッセルドルフ調査を実施するに際しては,デュッセルドルフ大学のスタッフおよび博士課程院生との意見交換も積極的に行い,ヨーロッパにおける日系企業の進出動向と求められる現地スタッフの資質について検討を加える予定である. 本科研は最終年度でもあり,バンコク調査,上海調査,デュッセルドルフ調査という3つの調査結果をとりまとめ,あわせてこれまでにメンバーが実施してきたシンガポール調査,サンフランシスコ調査,ホーチミン調査を併せて平成26年秋に開催予定の地理科学会で総括のシンポジウムを開催する計画である。
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