研究課題/領域番号 |
23401042
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 展 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70126085)
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研究分担者 |
山本 博之 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (80334308)
重川 希志依 富士常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (10329576)
木村 周平 富士常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 准教授 (10512246)
大矢根 淳 専修大学, 人間科学部, 教授 (80281319)
大谷 順子 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 准教授 (90403930)
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キーワード | 自然災害 / 創造的復興 / 民族誌 / 復興支援 / 災害人類学 |
研究概要 |
当初の計画とおり、メンバー各自が現地調査を行った。調査地域は、フィリピン(清水)、インドネシア(山本)、トルコ(木村)、中国(大谷)それに兵庫県、新潟県、宮城県、岩手県(重川、大矢根)など多様である。全員が、それぞれの国・地域において自然災害がもたらした被害と、その後に進められた社会と経済の再建について短くて数年、長ければ20年の過程を観察し調査してきた。2010年秋に本科研の申請をしたときには、その数ヶ月後に東日本大震災が起きることは予想だにしなかった。大震災が襲ったことにより、当初の計画を修正し、日本との比較の観点と日本への提言を心がけることを全メンバーに必須とした。また各メンバーが東北の被災地を訪問し、被災規模の甚大さ深刻さについて五感をとおして感得することを強く要請した。代表者の清水は、2011年6月17~20日の3日間、分担者の木村・市野澤らとともに、岩手県宮古市から宮城県仙台市までの三陸沿岸部をくまなく車で回り、被災地の実情を見聞した。木村は、岩手県大船渡市の創造的復興の過程について数度の滞在調査を行った。市野澤は仙台に居住し、自身も津波による被災を経験したが、その後、住民の生活再建についての参与調査を続けている。また10月1~3日には、宮城学院女子大学および石巻専修大学で研究会を開催し、メンバー全員が集まり情報の交換、知見の共有、議論を行った。研究課題のキーワードである「創造的な復興」は、阪神淡路大震災からの復興の際に掲げられた理念であった。研究会ではメンバー各自が、各国・各地における自然災害からの復興が、固有の文化や社会システム、歴史的な経緯などによって制約を受けながら、同時に新しい社会の建設を可能にするダイナミックな過程(創造的な復興)であることを再確認した。また、比較の観点および各自の経験と知見を、東北の創造的な復興のために活かすべきことも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように、本研究の課題は、あたかも昨年3月の東日本大震災を事前に的確に予想し、そこからの復興の過程に積極的な貢献をすることをめざしているかのようである。しかし災害の規模が大きく、また復興の速度が速いために、必ずしも実際で具体的な支援の活動をおこなえているわけではない。ただし、各自が今まで長期にわたって続けてきた、世界各地における自然災害からの創造的復興に関する調査研究を、日本との比較を意識しながら新たな視点で行うという、当初に設定した目的に関しては、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
メンバー各人が、世界各地のそれぞれの地域で調査研究を続けるとともに、昨年度と同様に、東北の被災地で合宿セミナーと復興過程の現地視察を予定している。今のところ、木村が調査を行っている大船渡が候補地である。
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