研究課題/領域番号 |
23401043
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
松岡 悦子 奈良女子大学, 研究院生活環境科学系, 教授 (10183948)
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研究分担者 |
小浜 正子 日本大学, 文理学部, 教授 (10304560)
嶋澤 恭子 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (90381920)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 出産 / 家族計画 / アジア / 医療化 / リプロダクション / 健康 / 助産師 / 女性 |
研究概要 |
H25年度は、インドネシア、ラオス、中国での調査を主に行った。 インドネシアにおいては、中部ジャワ州クラテン県ムランゲン村で1999年に、助産所をベースに女性たちに質問紙調査を行っていた。今回はこの15年間の変化を知るために、同じ村で前回の調査とほぼ同じ質問項目を用いて、女性たち63人に質問紙調査を行った。その結果、現在でもこの村では助産所で出産する人が多く、自分から進んで病院で産む人は少ないこと、また産後の儀礼は消滅してしまわずに継続していることがわかった。ただ、助産所のデータによると、助産所から病院に搬送される割合は2007年~2013年の間で増加しており、2007年には22.7%であったものが、2013年には(8月まで)54%になっていた。搬送の理由は、異常があったためとされているが、ふりかえって見た場合には、近代化によって出産が助産所(助産師)から病院(医師)へ移行する過程の一コマであると言えよう。 2014年1月には、ラオスのビエンチャンで、ラオス保健省と共同のワークショップを開催した。Joint Workshop on Promoting Reproductive Health in Asia (Lang Xang Hotel)において、日本側4名、ラオス側3名が発表し、リプロダクションにまつわる課題を共有した。 中国においては、現在の出産の医療化と過去の家族計画の聞き取りの両面からの調査を継続した。 韓国、中国、インドネシアなどのアジアの都市部において、出産の極端な医療化が見られる現象をどのように説明するかについては、H25年出版の下記の書物にまとめた。この本は本科研研究者の編著であり、本科研の成果の一つである。『アジアの出産と家族計画』小浜正子・松岡悦子(編)勉誠出版、2014年3月
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分担研究者、研究協力者を含めた4人が独自にそれぞれの担当地域を調査している。H25年度は国内での研究会を開かず、ラオスでのワークショップにおいて、研究打ち合わせを行った。調査データの中にはまだ未整理のものがあり、それを論文にまとめる必要があるが、H25年度には本科研の研究成果の一部を単行本として出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は最終年度にあたり、アジア内部のプロダクションの多様性と共通性を明らかにする必要がある。急速な近代化が極端な医療化をもたらすという仮説を、より詳しく検証する必要がある。また、その際には西欧のたどった緩やかな近代化との対比が必要となるであろう。 H26年度は、調査よりも文献による理論の精緻化や、すでに得たデータの整理、論文投稿に力を入れる予定である。そして、アジアの近代化の諸側面を国内での研究会においてより詳しく検討すると共に、西欧との比較を行い、アジアの特徴を抽出したい。
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