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2014 年度 実績報告書

アジアにおけるリプロダクションの歴史的変遷-医療化の要因と女性への影響

研究課題

研究課題/領域番号 23401043
研究機関奈良女子大学

研究代表者

松岡 悦子  奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (10183948)

研究分担者 小浜 正子  日本大学, 文理学部, 教授 (10304560)
嶋澤 恭子  神戸市看護大学, 看護学部, 准教授 (90381920)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワードアジア / リプロダクティブ・ヘルス / 医療化 / 助産師 / 出産 / 家族計画
研究実績の概要

本年度は、中国、ラオス、インドネシアおいて、社会の近代化がリプロダクションにもたらした変化について調査を実施した。最終年度に当たり、それぞれの地域において、出産の医療化への道筋をそれぞれの国で記述することを目的とした。中国では、家族計画が一人っ子政策として強化されるようになったのは1979年以降であるが、現実の計画出産は、国家の政策、村幹部、家族、女性本人の複雑な交渉によって行われ、女性たちが自己決定をまったくできないわけではなかった。出産については、中国は90年代以降政治運動として新式出産を展開し、急速な施設分娩への移行に伴い、帝王切開率は50%近くにまで上昇した。ラオスでは病院分娩率はまだ低く、とくに産後にはユーファイと呼ばれる産後の養生が都市部でも行われ、伝統的習慣がまだ生きている。インドネシアでは、一村に一人の助産師を目標に助産師養成が行われた結果、都市部でも村落部でも助産師が健在である。今年度は都市部の病院で調査を行ったところ、都市部でも急速に助産所から病院への搬送例が増えており、実質的に病院での出産に集約されそうな状況が生じている。その理由は、正常産のガイドラインが厳しく守られる結果、助産所で扱えないとされる例が病院に転送されているからである。
以上のことから医療化に影響する要因として、遅れて近代化を始めたこと、助産師養成が充分に行われなかったこと、女性の人権意識や民主主義の意識が弱いことをあげることができる。なぜなら、遅れた近代化は「圧縮された近代」の特徴から最先端の医療(帝王切開)に傾きがちであり、助産師の数が少ないことは正常産を支持する人が少ないことを意味し、民主主義や人権意識が弱いことは女性の自己決定権への配慮が少ないことにつながるからである。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 産科医療と女性の健康のパラドキシカルな関係2014

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 9月号 ページ: 198-211

  • [雑誌論文] 社会の近代化、医療の高度化とリプロダクション-今、アジアの女性たちはどのように産んでいるのか-2014

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 雑誌名

      家族関係学

      巻: 33 ページ: 15-25

  • [雑誌論文] 出産:自宅か病院か?2014

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 雑誌名

      『アジアのジェンダーとリプロダクション』静岡大学人文社会科学部・国際シンポジウム報告集 アジア研究

      巻: 別冊4 ページ: 174-186

  • [学会発表] 特別講演「お産はその国の文化!-文化人類学から見た現代の出産2015

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 学会等名
      東京母性衛生学会
    • 発表場所
      東邦大学看護学部
    • 年月日
      2015-03-01
    • 招待講演
  • [学会発表] Is Medicalization of Childbirth a Manifestation of Compressed Modernity?: Korean Case2014

    • 著者名/発表者名
      Etsuko Matsuoka
    • 学会等名
      EAAA Annual Conference
    • 発表場所
      Yeungnam University, Korea
    • 年月日
      2014-11-13 – 2014-11-16
  • [図書] Challenges to Women's Reproductive Health and Rights in Asia" Gadjah Mada University Press2015

    • 著者名/発表者名
      Etsuko Matsuoka(Etsuko Matsuoka & Pande Made Kutanagara)
    • 総ページ数
      124
    • 出版者
      Gadjah Mada University Press,
  • [図書] アジアの出産と家族計画2014

    • 著者名/発表者名
      小浜正子・松岡悦子(編)
    • 総ページ数
      286 (225-258)
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 出産の民俗学・文化人類学2014

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子(安井眞奈美編)
    • 総ページ数
      350 (54-76)
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 妊娠と出産の人類学-リプロダクションを問いなおす2014

    • 著者名/発表者名
      松岡悦子
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      世界思想社
  • [備考] Reproduction and Gender

    • URL

      https://reproculture.wordpress.com/

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公開日: 2016-06-10  

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