研究課題/領域番号 |
23401045
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
奥島 美夏 天理大学, 国際学部, 准教授 (10337751)
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研究分担者 |
池田 光穂 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40211718)
石川 陽子 首都大学東京, その他の研究科, 准教授 (40453039)
鈴木 伸枝 千葉大学, 文学部, 教授 (70412731)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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キーワード | 文化人類学 / 社会学 / 移住労働 / 看護 / 介護 / インドネシア / フィリピン / ベトナム |
研究概要 |
本年度は、EPAによる保健医療人材の派遣をすでに開始したインドネシア・フィリピン調査(石川、池田、奥島、鈴木)に加えて、来年をめどに開始するベトナム(奥島、奥田、新美)、および依然検討中のタイ(永井)での現地調査を実施した。その結果、ASEAN職業互換認定制度の発効(2015年)をめざして、各国の保健医療分野が教育制度・資格制度の引き上げ、見直しを進めており、その一方で急激な変化に現場がついてゆけず問題も抱えていることが明らかになった。 また、国内では春秋2回の研究会議を開催し、研究成果をまとめるとともに、ゲスト講師として、現場でEPA看護師・介護福祉士候補を育成する権平美佐(フィリピン、トロピカル・ビレッジ・パラダイス職員)、瀧永哲(足利赤十字病院医師)、および来日した候補者の労働問題の助言・対処を引き受けている酒井恭輔(連合大阪ハートフルユニオン書記長・インドネシア総領事館労働問題顧問)の3名を招聘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は、初年度にあまり進まなかった海外調査でフィリピン・ベトナム・タイの保健医療制度の概要とEPAの進行状況を把握することであったが、各メンバーにより順調に現地調査が行われた。 また、国内調査でも、すでに国家資格を取得した元EPA候補者たちが抱える問題(日本語学習の継続、労働トラブル)や、日本での結婚・出産・家族呼び寄せなどの家族形成の問題について、候補者および現場関係者からの聞き取り調査を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年度にあたり、国内外での補足調査を進めると同時に、研究成果の吟味とまとめ方の検討を進めてゆく予定である。 国内調査として、労働トラブルに比べてメディアなどでもとりあげにくい家族形成の問題を引き続き聞き取り調査などから収集する。家族形成と職場の方針の齟齬(結婚や出産による休暇申請を雇用種側が嫌がる、禁止するなど)、本国の配偶者・家族との交渉(単身赴任を続ける、断念する、日本に呼び寄せるなど)についての事例をさらに集め、国・民族間のライフプランやキャリア形成に関する意識の違いを明らかにしたい。 また、時間・費用負担の大きいEPAに比べて、中国人などの看護生の留学・就学を好む医療・福祉機関が増えてきているが、個別のケースだけでなくある程度全国的な動向としてとらえる方法を模索したい。 海外調査としては、日本語教育が始まったベトナムにおけるEPAの選抜・養成課程を引き続き観察するとともに、他のASEAN諸国の新たな動向などがあれば、随時補足してゆく。 最終成果のまとめとしては、年2~3回の研究会議を開催するとともに、日本におけるEPA候補者の学習に関する改善案をまとめたり、移民政策や日本語教育などの学会においてパネルないし個人発表を行う予定である。
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