研究課題/領域番号 |
23401047
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
石原 美奈子 南山大学, 人文学部, 准教授 (20329741)
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研究分担者 |
宮脇 幸生 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (60174223)
田川 玄 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (70364106)
藤本 武 富山大学, 人文学部, 准教授 (20351190)
増田 研 長崎大学, 環境学部, 准教授 (20311251)
松村 圭一郎 立教大学, 社会学部, 准教授 (40402747)
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キーワード | エチオピア / 宗教 / 公共性 / イスラーム / キリスト教 / 精霊憑依 / 儀礼 / 民族連邦制 |
研究概要 |
今年度は、研究代表者・研究分担者および研究協力者(以下、代表者・分担者・協力者と略す)が、エチオピアにおけるそれぞれの調査地において現地調査を実施した。石原(代表者)は、首都アジスアベバ市・ジンマ市(南西部)および聖地ファラカサ(南東部アルシ地方)におけるイスラーム関連の施設や機関を回り、インタビューを実施したり印刷物を入手したりするなどの調査を行った。協力者の松波康男(一橋大院生)は、エチオピア南東部の東ショア地方における農村で3か月間滞在し、そこで行われているオロモの宗教的活動について現地調査を行った。協力者の垣見窓佳(名古屋大院生)は、同じく東ショア地方に6か月間滞在し、近年復活してきているオロモの年齢階梯制にもとづくガダや伝統儀礼イレッチャに焦点をあてて調査を実施した。この2名の協力者の成果は、現政権が推進する民族連邦制のもとでますます政治色を帯びる「オロモ」への回帰、もしくは「再オロモ化」の直近の動向を伝える業績となることが期待される。また田川・藤本・増田(すべて分担者)は、それぞれ20年来調査を続けているボラナ・オロモ(南部)・マロ(南西部)とバンナ(南西部)を再訪し、近年ますます勢いを増しているプロテスタント系ミッションの活動の影響、およびそうした外来の宗教の影響力の増大にもかかわらず依然として人々の精神世界を形作っている土着の信仰・呪術や儀礼との関係性について、調査を行った。以上のように、今年度は本研究は現地調査に重きを置いて実施してきた。エチオピア南部において20年来調査研究に従事してきた本研究のメンバーは、相互の情報交換を通した地域横断的な比較ができるのみならず、ここ20年間の変化を検証することができる。今年度の調査を通して、とくに現政権下で民族を隔てる境界線が政治化するなかで、民族や地域の境界線を越えて人と人とのつながりをもたらす宗教の影響力が強くなってきていることが実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、初年度および2年目は、主として海外(エチオピア)での調査および学会等での成果発表を計画していたが、本年度は計画通り、代表者・分担者および協力者によるエチオピアでの現地調査が順調に行われた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、初年度および2年目を現地調査にあてているが、エチオピア国内情勢も調査の遂行にさしさわる状況や事件は起きておらず、また代表者・分担者他の研究環境も大きく変化した者もいないので、当初の計画通り、平成24年度においてもエチオピアでの現地調査を中心に置きながら、国内外での学会に参加しながらその成果発表につとめ、さらには出版物の形にまとめる準備をしていくこととする。
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