研究課題/領域番号 |
23401049
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
西原 明史 安田女子大学, その他部局等, 准教授 (60274411)
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研究分担者 |
金 俊華 近畿大学九州短期大学, その他部局等, 教授 (30284459)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 哈密地区 / 現代ウイグル文学 / 文献研究 / アイデンティティ形成 / 民族関係 / 新疆ウイグル自治区 / 漢民族 / ウイグル族 |
研究実績の概要 |
最終年度ということで、初年度から収集してきた調査資料の翻訳・整理・分析に専念した。現地の政治情勢の激変で13年度より現地調査が困難になり、インタビューや参与観察による最新の口頭・映像資料の不足は否めないものの、資料収集の焦点を現地で発行された文献に絞ることで、それを補うことができた。政治情勢の変化にかかわらず「変わらないもの」、いわば「強い現実」とでも呼べるものがウイグル族社会にはあるという実感を20年以上に及ぶ現地調査経験からすでに得ていたためである。こうした「現実」の解読であれば、私が過去に収集してきた膨大な調査資料や、現代文学・詩・散文・年鑑などの文献資料を精査することで十分に事足りる。今年度はこの方法論により、ウイグル族の自我意識や社会思想を明らかにすることを試みた。以下にその概要を紹介する。 治安が安定した新疆東部哈密地区で調査を続ける中、私は漢族とウイグル族の間の日常的な「駆け引き」の事例を数多く発見した。彼らは政治・宗教分野で妥協や譲歩を積み重ね、その結果、お互いの信頼関係を築いていたのである。こうした関係が、他方が期待する像を取り込むという「アイデンティティ修正」をそれぞれの民族に行わせているという仮説を立てたのが昨年度の研究成果である。最終年度の今回は、結論から言えば、この仮説を裏付けることができた。ウイグル族の表立った発言や行動は民族的な矜持を示すものばかりで、そこには一貫したアイデンティティがある。私たちはこの言説に目を奪われがちだが、哈密のウイグル族に支持される若手詩人の作品には、「変わること」がウイグル族の変わらない同一性(アイデンティティ)であることが確かに謳われていた。それはまた形式や隠喩を通して巧みに示されており、多様なメッセージの発信が十分に可能であることを窺わせる。このように現代ウイグル文学研究の価値を見出せたことも大きな成果である。
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現在までの達成度 (段落) |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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