研究課題/領域番号 |
23401051
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
寺田 吉孝 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (00290924)
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研究分担者 |
田森 雅一 東京大学, 総合文化研究科, 研究員 (10592454)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 芸能 / 芸術 |
研究概要 |
研究代表者・寺田吉孝は、南インド、チェンナイ市において現地調査を実施した。チェンナイで毎年12月~1月にかけて開かれる音楽・舞踊祭に参加し、国外在住のインド系音楽家、舞踊家の公演活動の実態について調査をおこなった。特に昨年現地調査を行ったカナダ、トロント市在住のインド系舞踊家とチェンナイ在住の師匠たちの関係や、在外舞踊家を支援する団体の組織や活動について理解を深めることができた。また、以前から注目しているインターネットを利用した音楽教授についても追加調査を行い、個人ベースの利用が一般化するとともに、音楽院などが組織的に海外の弟子を募集するなど、インターネット教授の多様化が進行していることが明らかになった。 研究分担者・田森雅一は、昨年度に引き続きラジャスタン州ジャイプルで現地調査を実施した。昨年度調査を開始したグローバルな活動を展開する芸能集団「ラジャスタン・ルーツ」について追加調査をおこなうとともに、古典音楽の伴奏を世襲的職業としてきたカーストに属する演奏家、関係者に聞き取りを行い、グローバル化を背景とした音楽ジャンルと社会関係の変化に関する情報を収集した。 研究協力者・竹村嘉晃は、シンガポールのインド系コミュニティの音楽芸能実践について現地調査をおこなった。現地におけるインド音楽の演奏、教授を精力的に推進してきたバスカル芸術院、シンガポール・インド芸術ソサエティ、シンガポール・インディアン・オーケストラなどの関係者に、活動の実態や国外のインド系コミュニティとの人的ネットワークに関する聞き取り調査を行った。演奏ツアーなどによるインド在住演奏家の欧米訪問の増加が、インドと欧米の中継地であるシンガポールにおけるインド音楽の活性化につながっている点が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、昨年度の予備調査を基盤として、インド(チェンナイ、ジャイプル)およびシンガポールで調査を行い、充実した情報収集をすることができた。特に、寺田が調査しているチェンナイ―トロント間のネットワークに、竹村が収集したシンガポール―トロント間の交流に関する情報を照合することで、グローバルなネットワークをより多面的に見ることができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は本プロジェクトの最終年度に当たるため、インド(ジャイプル)、カナダ(トロント)、シンガポールで現地調査を継続するとともに、調査地間の関連に留意しながら成果をまとめていきたい。研究の集約にあたっては、音楽・舞踊のクロスカルチュラルな実践とグローバルなネットワークの実態、人の移動に伴う音楽・舞踊の内容的変化、演奏家間および演奏家―パトロン・支援者間の社会関係の変化、メディアの役割などに留意する。なお、音楽系学会の大会で分科会を組織し、成果の一部を公開する予定である。
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