研究課題/領域番号 |
23402006
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅原 由美 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (80376821)
|
研究分担者 |
新井 和広 慶應義塾大学, 商学部, 准教授 (60397007)
青山 亨 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (90274810)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | イスラーム / 文献学 / インドネシア / 東南アジア |
研究概要 |
平成24年度は、昨年同様、まず9月に、インドネシアの国立アンダラス大学文学部講師陣の協力によって、西スマトラ北部のパサマン地区において、イスラーム礼拝施設(スラウ)に保管されているイスラーム写本について基礎データ(書誌情報、写真)の収集をおこなった。パサマンではルブック・ランドゥール(Lubuk Landur)とシェ・ボンジョール(Syekh Bonjol)宗教施設が主な対象地で、前者は現在までイスラーム神秘主義ナクシャバンディー教団の活動が盛んな土地であり、写本の記録とともに、彼らの活動も観察することができた。後者は、ミナンカバウにおけるイスラーム改革運動の起点となった地域であり、その影響を今も色濃く残していることが観察できた。 基礎データは、エクセルに入力し、写真はすべてのページをデジタルカメラで撮影し、ハードディスクに保管した。これらのデータを一度、アンダラス大学(パダン)に持ち帰り、カタログを作成するために、調査参加者の間で、各写本の読解の担当を決めた。読解の結果は3月に一度、研究代表者である菅原のもとに集めたが、24年度同様25年度夏に、アンダラス大学でその調査結果を調査者全員で検討する。 9月調査終了後、最終成果である写本書誌カタログ執筆方法及び国際シンポジウムの開催方法について検討会を開いた。カタログについては、書誌情報とミナンカバウ写本の特徴を記述する2部構成とし、執筆担当者とスケジュールを決定した。シンポジウムについては、会議後、インドネシア写本学会の了承を取り付けることに成功し、26年度にパダンで国際シンポジウムを開催することが決まった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに予定調査地において、調査をおこなうことができた。写本の読解についても、当初の予定通りである。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、西スマトラ、ミナンカバウのイスラーム宗教施設等に保管されているにイスラーム写本の書誌データ等を収集し、最終成果であるカタログの内容を増やしていく。今年度の調査地は、パシシル・スラタン(Pasisir Selatan)地区を予定している。同地域は、イスラーム到来前の王国の宗教伝統の影響が強い地域であり、イスラームの受容がどのようになされたのかを写本から分析する。 今年度でデータ収集調査は終了するため、今年度の後半はカタログ執筆と編集作業をおこない、草稿を完成させ、出版準備を進める。また、来年度の国際シンポジウムについて、全体の構成と企画を考え、準備を始めるとともに、国際シンポジウム用の各自の原稿も準備する。
|