本研究は、研究代表者1名(岡島克樹)・分担研究者2名(川村暁雄・甲斐田万智子)の計3名からなる研究班を組織し、3年間という研究期間のなかで、国際協力の新しい潮流である「人権基盤型アプローチ」(以下、Rights-Based Approachの頭文字をとってRBAと表記する)の主流化動向をあらためて確認するとともに、それが実際にどのような開発効果をもたらすのかを探究するものである。そのため、より具体的には、(1)NGOを含む国際協力機関やその他分野でRBAがどのように導入されているのか、また、研究者によってどのような研究が行われているのか、最新動向を文献調査やセミナー開催等をつうじて確認するとともに、(2)カンボジアで実際にRBAを使った事業を実施する団体への訪問を行ったり、その事業対象地域での聞き取りを含む現地調査を行ったりする研究活動を行うととした。 そのため、3か年のなかで、(1)についてはRBAに関する文献を収集・分析することに加え、計3回の研究会を開催した(この研究会は研究班のみで情報を独占するのではなく、実際に国際協力を実践する方や関連分野で研究する関係者と広く学びを共有するために「公開研究会」としている)。より具体的には、国際協力機関におけるRBA導入動向を確認したり、研究班がカバーするカンボジアの少数民族やエイズ、子ども以外の分野におけるRBAの実践(ネパール、障がい者支援分野)について情報収集を行ったりした。(2)については研究班メンバー3名がのべ8回のカンボジア渡航を実施し、現地調査での聞き取りや文献収集を行うとともに、講演や論文執筆を行った。 上記のような活動をつうじて得られた知見は、学会発表や図書の出版に反映されたほか、日本政府の国際協力機関であるJICAが『RightsBased Approachとは』と題して情報整理を行う際にも生かされた。
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