平成23年度は、アルゼンチンを研究対象とした。ラテンアメリカの中では珍しく19世紀制定の憲法が現行法である。平成23年8月と平成24年3月の2回にわたり、アルゼンチンを訪問し、違憲審査制の実際の運用をみた。 平成23年8月は、ブエノスアイレスを訪れ、国立ブエノスアイレス大学と私立サルバドール大学に所属する憲法学者と面談した。ブエノスアイレス大学では、法学部生に対する違憲審査制の講義も参観させていただいた。また、違憲訴訟で勝訴経験のある伝統ある法律事務所において、その経験を聞かせていただいた。これらの法律家から現在のアルゼンチンの違憲審査制を知る上で必須の文献を指示してもらい、帰国後発注した。 平成24年3月の訪問は、連邦裁判所と州裁判所の関係と、州レベルの違憲審査制について、現実の運用に特化して知見を得るのが目的であり、ブエノスアイレスより古い法学の伝統を有するコルドバ州を選び、コルドバ大学に所属する法律家や、コルドバの州最高裁判所の民事、刑事の裁判官、コルドバの連邦裁判所の裁判官と面談し、特徴的な判決の資料や、違憲審査制に関わる著作を賜った。
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