研究課題/領域番号 |
23402020
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
山田 徹 神奈川大学, 法学部, 教授 (90409839)
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研究分担者 |
西村 茂 金沢大学, 法学系, 教授 (20164585)
伊藤 徹哉 立正大学, 地球環境科学部, 准教授 (20408991)
柴田 直子 神奈川大学, 法学部, 准教授 (20409840)
田口 晃 北海学園大学, 法学部, 教授 (30113583)
津田 由美子 獨協大学, 法学部, 教授 (30247184)
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キーワード | 地方分権改革 / ヨーロッパ / 都市ルネッサンス / 都市政策 / 政府間関係 / 地域化 / 比較研究 |
研究概要 |
ヨーロッパ諸国の都市政策と政府間関係に関する比較研究を進めるために、平成23年度は東京で5回の研究会(報告者はのべ7名)と、金沢で1回の研究合宿(報告者は3名)を行った。また海外の実態調査を行うために(括弧内は派遣者)、ドイツ(山田、廣田)、フランス(西村、廣田)、オランダ(田口)、スペイン(若松)、スウェーデン(穴見)、イギリス(山崎)、イタリア(高橋)の官庁、大学、研究所で、資料・文献の収集と関係者へのインタビューを実施した。 それらの結果、現段階で判明していることは、(1)ヨーロッパの大都市がシティ・リージョンとして外延的な拡大の傾向を強くもっていること、(2)その際の都市政策は、グローバル化とEUの拡大による地域間競争の激化とともに、特に経済的な競争力強化に重心をおいていること、(3)社会的、経済的な格差の拡大傾向の中で、持続可能な「結束政策」がやや困難に陥り、岐路を迎えていること、(4)地域・都市への国からの権限委譲は進められているが、多くの国では財政問題をめぐり対立を深める傾向にあること、という諸点であった。これらはまだ仮説の段階にあるが、引き続き、国・都市の空間戦略ないしプロジェクトに基づく都市の制度組織変革、政府間関係における権限委譲と財政支出の問題を中心として、上記課題の検討を進めていきたい。それらは「都市のルネッサンス」とされる現代ヨーロッパの核心的潮流の一つを解明することに寄与するはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来の研究動向のアウトラインを了解した上で、現在は現地の実態調査を踏まえた個別の都市の政策、都市と国・地域の権限上、財政上の関係について研究を進めている。現地関係者へのインタビュー、資料・文献の収集とその読解もほぼ順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は個別の都市研究を進めた後に、それら相互の比較研究の課題にとりかかる。各国の都市の制度的与件、経済的、社会的な環境の相違を踏まえた上で、ヨーロッパ各都市の抱える共通の課題とその解決の仕方を、わが国の都市にも引照させながら検討を進めていく。本研究グループは従来からヨーロッパ各国の「地域化」(regionalization)の研究を行ってきたので、この課題はクリアーできるはずだが、都市を対象とした場合の特有の困難さ―特に都市と周辺ないし郊外との関係、都市内の地区間格差の問題―は存在するものと考えており、さらに実証研究を進めてこれを克服することとしたい。
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