研究課題/領域番号 |
23402028
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
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研究分担者 |
辻村 英之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50303251)
坂田 裕輔 近畿大学, 経済学部, 教授 (50315389)
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 准教授 (60340767)
山尾 政博 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | フェアトレード / 貧困削減 / 徳の経済 / 経済思想 / 消費者行動 / ルイボス紅茶 / 有機米 / コーヒー |
研究概要 |
本研究は、「徳の経済」についての経済学史的・思想史的研究とフェアトレード(FT)の役割と実像に関する実証的研究の2本柱から構成されている。FTについては、生産地へのインパクト・スタディー、消費者の購買行動分析、その仲介役となるFT組織という3つの側面からアプローチする。平成24年度はこうした研究枠組みに基づいて、国内研究会、本格的現地調査及び消費者の購買行動に関する国際比較を中心に研究を進めてきた。 理論的研究については、国内研究会において、A.センの「正義」、ベーシック・インカム論、A.スミスの思想形成プロセスなどを集中的に議論し、「徳の経済」理論の構築に向けた研究を進める上で不可欠になるEconomy of Virtue概念の有効性と思想史的意義が確認できた。またインパクト・スタディーにかかわる現地調査の結果についても国内研究会で議論を行った。その成果に基づいて、2012年度の国際開発学会第23回全国大会(神戸大学)でセッション報告を企画し、南アフリカ・ルイボス紅茶生産組合及びタイ・スリン県周辺のFT有機米生産組合について報告した。このセッションには、メンバー以外からも報告者を求め、間接的効果を含むインパクトの地域間比較を行うための枠組みの構築に向けて第一歩を踏み出すことができた。その際に、タンザニア・キリマンジャロ州の農家経済経営の構造をセンや現代制度派経済学の理論に依拠した混成性の農業経営モデルがひとつの軸となり得るだろう。 先進国の消費者行動分析については、日本(福岡、鳥取、高松、堺、京都、松戸)のほかにフランス(2か所)、イギリス、韓国でアンケート調査を実施し、現在集計を進めている。なお、連携研究者の西山が本件の消費者行動分析と連動しているローカルフード運動について、日本と韓国の一般消費者に関する調査に基づき2つの学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2本柱である経済学史的・思想史的研究については、専門家を招へいした国内研究会の開催により論点がはっきりしてきており、また関連資料の収集も順調に進んでいる。FTのインパクト・スタディーについては南アフリカのルイボス紅茶生産組合、タイの有機米生産グループ、タンザニアのコーヒー生産組合の調査が順調に進んでいるが、カカオの実態調査が実施できなかった。消費者意識調査は実施時期がずれ込んだため、現在、データ入力を行っている段階である。日本のFT組織については調査が進んでいるが、イギリスについては次年度に延期せざるをえなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
消費者意識調査のデータ入力を早期に完了させ、10月の地域農林経済学会または12月の日本国際開発学会で報告する。9月にアジアの関係研究者を交えた国際ワークショップ(開催地バンコクかスリン)を開催し、そこに向けた研究成果の取りまとめを促進する。このワークショップの準備のため、7月ごろにアジアの関係研究者よる打ち合わせ会を開く(バンコク)。
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